研究課題/領域番号 |
62480229
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岡田 伸太郎 大阪大学, 医学部小児科, 助教授 (30028609)
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研究分担者 |
緑川 光雄 大阪大学, 医学部小児科, 助手 (00200072)
乾 幸治 大阪大学, 医学部小児科, 助手 (90175208)
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キーワード | ガラクトセレブロシド / ガラクトセレブロシダーゼ / Krabbe病 / Twitcherマウス / 脂質代謝異常症 / 脱髄 |
研究概要 |
Krabbe病のモデルであるTwitcherマウスを用いて脂質代謝異常の詳細を検討し始めた。同マウスは遺伝性にガラクトセレブロシダーゼを欠いており、このためガラクトセレブロシドの進行性蓄積が見られるはずであるが、実際には正常マウスよりも中枢神経系での含量は低い。この矛盾を説明するため、材料として扱いやすい末梢神経(坐骨神経)を用いて、脂質の動態を調べた。 坐骨神経にマイクロインジェクターで^3Hーガラクトースを注入し、合成される脂質を経時的に検討すると、正常マウスでは合成されたガラクトセレブロシドは速やかに分解され、セラミドにまで達する。一方、病的マウスでは、ガラクトセレブロシドの分解はきわめて不良であることと、さらに中性脂質(グロボ系列)の合成の亢進がみとめられた。従って、分解系の異常は確認された。 次に、経日的なガラクトセレブロシド合成能を同様の方法で調べると、^3Hーガラクトースで標識されるガラクトセレブロシド量は正常ど病的マウスで相当の差がある。すなわち、正常マウスではいわゆるミエリネーション(髄鞘形成)の盛んな時期に一致してガラクトセレブロシドが盛んに合成される。しかし、Twitcherマウスでは、ミエリンが増えるとすぐに続いて脱髄が始まるためか、ガラクトセレブロシドの合成量は激減する。この基質の急激な減少が、おそらく最終的にガラクトセレブロシドの蓄積をほとんど消してしまうのではないか、と推定された。以上、通常の脂質蓄積症には見られない矛盾した現象をうまく説明しうる成績を得たが、さらに、神経毒性を有するというサイコシンの動態を含めた研究を翌年度の課題としたい。
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