研究課題/領域番号 |
62480230
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
植田 浩司 九州大学, 医学部, 教授 (00038647)
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研究分担者 |
徳川 健 公立学校共済組合九州中央病院, 小児科医長 (80145200)
楠原 浩一 九州大学, 医学部, 医員
宮崎 千明 九州大学, 医学部, 助手 (30190763)
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キーワード | 成人T細胞白血病ウイルス(HTLVーI) / 母子感染 / 抗体 / 抗原 / 血清疫学 |
研究概要 |
成人T細胞白血病ウイルス(HTLVーI)浸淫地域における母子間のHTLVーI抗体陽性率の差を検討するために、昨年度の調査で15年間(子どもの年齢3〜18歳)にわたるHTLVーI抗体の追跡を行った沖縄の母子311組のうち、168名の子どもを22歳の時点で新たに追跡し、以下の結果を得た。 1)母親がHTLVーI抗体陽性で18歳まで抗体陽転のみられなかった子ども20例は、22歳まで追跡しても抗体陰性のままであった。また、このうち10例については、リンパ球培養によるHTLVーI抗原の検索を行ったが、いずれも陰性であった。2)抗体陰性の子ども164例のうち、18歳から22歳の間に抗体陽転がみられたのは1例のみであつた。 昨年度の研究で明らかにした母子間のHTLVーI抗体陽性率の著しい差は、a)母子感染を受けていながら成人後に抗体陽転するケースの存在 b)輸血、夫婦間感染に次ぐ第3の水平感染経路の存在 c)環境因子の変化による母子感染率の低下、のうちいずれかが証明されれば説明は可能である。今回の追跡調査では、上記1)の成績よりa)を証明することはできず、また、上記2)の成績よりb)を支持する結果も得られなかった(第2回HTLVーI母児感染研究会 1988年7月)。c)については、経時的な疫学調査により検討する必要がある。
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