研究概要 |
本研究の目的は, 癌治療の個別化を行うについて, 腫瘍の血菅系の特異性を多面的に明らかにすることであるが, そのために, 一つは高解像度XTVを得て, その微細形態レベルにわたる異常と, その結果招来される動態異常を明らかとする検討を, 他方では低酵素などの異常状態で修飾される血管増殖の状態を毛細血管増殖因子に対するモノクロナル抗体を作製して明らかとする予定であった. しかし申請予算の減額でモノクロナル抗体作製のために必要な設備の充実を計ることが困難となったので, 本学共同利用備品として来年度から予定されている実験用MRスペクトロスコピー(MRS)で得られる腫瘍の代謝, すなわち^<31>PスペクトログラムにおけるATP高エネルギー代謝及びpHの状況とXTVで得られる結果とを対比させることとした. そこで既設のソフテックス用軟X線管60KVPを高解像度PBOビジコンカメラで受光する微小循環動態計測システムを試作した. 本装置にて800倍の拡大撮影が可能で25μまでの解像力を得ることが可能であるが肉厚のある移植腫瘍の造影において50〜100u程μに解像度が低下するので肉厚の薄い腫瘍系の作成の工夫を行っており, 加えてBaSO_4, リピオドール投与後の屠殺切片を得て血管床容量の定量を行い, 造影剤通過の一速のイメージから動態パラメータの算出の工夫と, その妥当性の検討を, 同時に作製した微小循環ファントムモデルについてのラジオアイソトープ通過のモデル実験と照合して行っている. このようにして得た腫瘍血管構築の形態異常が, どのような動態異常となり, これが更にどのような代謝異常となるかについて来年度使用が予定されるMRSの加えてのデータと照合することで明らかにする. in vivo系におけるこのような形態ー動態ー代謝のつながりを明らかとすることは癌治療の個別化を行う上での種々の指針を反えてくれるものと期待している.
|