研究課題/領域番号 |
62480240
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
河野 通雄 神戸大学, 医学部, 教授 (60030938)
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研究分担者 |
土師 守 神戸大学, 医学部附属病院, 助手 (10198707)
廣田 省三 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (20181216)
佐古 正雄 神戸大学, 医学部附属病院, 助教授 (60030970)
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キーワード | 肝癌 / 肝細胞癌 / 集団検診 / 超音波検査 / X線CT / MRI / 画像診断 |
研究概要 |
1)職域肝集検実施成績:肝癌集検における問題点を検討するため、我々が開発した超音波装置を用いて小規模の職域検診を実施した。職域検診は兵庫県総合保健協会と協力して株式会社バンド-化学の500人を対象として平成元年3月6日から平成元年7月18日まで実施した。受診者は男414名、女108名、計522名である。結果表3ー8)は、異常なし(A)正常範囲(B)が436名で全体の83.5%、要観察(C)要注意(D)が34名で、6.5%、要精検(E)、要治療(F)、要再検(G)が52名で10.0%であった。血液検査ではAFPの異常値は1例も見られなかった。二次検診はC以上の判定を受けたCーFの86名、全体の16.5%に勧告を行い、内74名が受診した。その結果、肝細胞癌が疑われた者は1名もいなかった。また、肝以外の他臓器疾患はC、Dで9名、EFGで33名であった。また、我々が開発した小型プロ-ブは操作性に優れ、肝ド-ム直下の描出能に優れていた。 2)MRIによる肝細胞癌の診断能 20例の肝細胞癌につきMRI診断について検討した。MRIはその特徴である優れた組織性状の診断能から肝癌と他の腫瘍との鑑別に有用である。即ち、超音波集検で肝内腫瘤性病変として検出される良性病変の多くを、MRIにて肝癌と鑑別できる。特に、頻度の高い肝血管腫は、MRI、T1強調画像で低信号を呈し、T2強調画像で著明な高信号を呈することからほぼ診断可能で、血管造影等の侵襲的検査を省略できる利点を有する。また、嚢胞性病変も容易に診断できる。MRIによる肝癌の描出能、質的診断能は高く、二次検診への応用が充分期待できる。CTに比べ一般への普及率が低いが、近い将来CTを凌駕するものと思われる。
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