研究課題/領域番号 |
62480241
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
森田 和夫 札幌医科大学, 医学部, 教授 (20045347)
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研究分担者 |
久保 喜平 札幌医科大学, 医学部, 助手 (40117619)
晴山 雅人 札幌医科大学, 医学部, 助手 (10173098)
大久保 整 札幌医科大学, 医学部, 助手 (40106448)
小祝 聡一郎 札幌医科大学, 医学部, 講師 (90045336)
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キーワード | アデノシン誘導体 / スフェロイド / 放射線感受性 / HeLa細胞 / 骨肉腫 |
研究概要 |
本研究では、放射線との併用により、治療効果の向上を期待しうるアデノシン誘導体の検索とその作用機序の解明を目的としている。 1.スフェロイドの放射線感受性に関する実験:併用実験に先立ち、ヒト骨肉腫由来の細胞は、単層培養では、Do値が1〜1.5GYの範囲にあり、放射線治療に対して比較的良好なレスポンスが期待される。スフェロイドの放射線感受性は、その増殖曲線をもとにして、検討した。骨肉腫の肺転移巣(大腿骨遠位部原発)および脛骨近位部の傍骨骨肉腫由来の2株について、種々のX線線量を照射した。この結果、10GYの単独照射により、スフェロイドの増殖は、完全に抑制され、報告されているヒト由来の腫瘍細胞株と比較して、放射線抵抗性であるとは、考えられない。 2.アデノシン誘導体による放射線作用増強効果の機序:1-およびワーデアザアデノシン(C^1-およびC^7-Ado)は、子宮脛癌由来のHeLa細胞において観察される潜在的致損傷の修復を抑制する。この抑制作用は、同一細胞のアデノシンキナーゼ欠損株ではみられないことより、細胞内における代謝の必要性が示唆される。高速液体クロマトグラフィーをもちいた細胞内ヌクレオチドプールの分析により、投与量に比例してC^1-およびC^7-ATPの増加およびそれに伴うATPプールの減少が起ることが分かった。このことは対数増殖期のみならずプラトー期の細胞においても同様であった。しかしながら、フローサイトメトリーによる細胞動態の解析によると、修復を阻害する濃度でも、細胞周期パラメーターに顕著な影響は認められなかった。また放射性前駆体の取込によるDNAおよびRNA合成抑制も、修復抑制に比べて、それぞれ2および4倍の濃度を必要とすることが分かった。これらの薬剤の作用機序の解明のために、核酸への取込の有無等、ヌクレオチド三リン酸の細胞内代謝の研究が重要であることが示唆された。
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