情報処理機能(事象関連電位)と関連した大脳機能の動的解析が可能であるDynamic Event-Related Potentials(DERPT)の開発は、前年度において成功した。そこで本年度は、本法を精神分裂病者の情報処理障害を明らかにする目的で以下の研究を実施した。 対象:精神分裂病者32人(右手きき・31人は未服薬)と性・年齢を対応させた健常対照者32人(右手きき)。 方法:odd ball課題を遂行中の事象関連電位のトポグラムを、連続的にビデオテ-プレコ-ダ-に録画し、必要に応じて再生し、視察的に動画を解析した。その結果は、前年度に報告したが、本年度においては、動画をより客観的なものとするために、事象関連電位の各成分の頂点の動きの頭皮の軌跡を書かせることを試みた。ソフトは、研究者と日本電気三栄とで担当した。 結果:精神分裂病者の場合、健常者に比較してP300の頭皮上における動き、さくに左右方向の動きが大きいことがわかった。精神分裂病者でみられるP300振幅の低下は、P300を頭頂部の一定部位に出現させる統合的な機能に障害があるのではないかと考えられた。 実績:事象関連電位を動画として表示することを成功させ、次に二次処理としてP300頂点の動きを軌跡として描かせることにも成功し、分裂病者における特徴的所見を見出した。
|