研究分担者 |
中村 和生 北里大学, 医学部, 助手 (40189030)
三浦 貞則 北里大学, 医学部, 教授 (70050383)
大谷 義夫 北里大学, 医学部, 講師 (40095500)
田口 文章 北里大学, 衛生学部, 教授 (40050455)
小嶋 久子 北里大学, 医学部, 講師 (90118810)
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研究概要 |
62年度に計画した実験はほぼ予定通り遂行ずることができた. 1.プリオンタンパクが発症の必須因子であるか否か. 発症マウス脳をプリオン調製法に基づいて10画分に分離した. これともとの脳ホモジネーとを加えた11画分につき,タンパク質量あたりの感染力価を測定した. 電気泳動および抗合成プリオンペプチド抗体との反応から分子量19,22,27Kdのいわゆるプリオンタンパクを含む画分が調製されていることを確めた. 感染力価を測定した結果,プリオン画分のみならず,プリオンタンパクを検出し得ない画分にも高い感染能が検出された. 以上の結果から,プリオンタンパクの存在が発症の必須条件ではないと結論した. 2.プリオンタンパクとガングリオシドとの免疫学的関係. プリオン画分を用いてガングリオシドとの親和性をELISA法で検索した結果,総ガングリオシドによる軽度の親和性が観察された. この結果の特異性およびこれが特定のガングリオシド分子種によるものかどうかを明らかにすべく,現在実験を行っている. 3.発症因子の不活化条件の確立. 減菌清毒法を確立するため種々の条件下で感染能の変化を調べた. オートクレーブ121°,30,60,60×2,および120分処理では潜伏期間は延長し,感染力価も低下するが10%脳ホモジネートでは100%の発症を見た. 132°,60分処理で完全不活化となった. 1NNaOH,60分処理では充分量の感染能が存在することがわかった. これは米国神経学会の観告に反する知見で,早急に改訂の必要があることを意味している. 1NNaOH60分処理後に121°60分オートクレーブを行うと感染能は完全に消失した. 我々はこの条件を発症因子の不活化法として推漿したい.
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