研究概要 |
抗DNA抗体の存在については72名のバセドウ病患者につき検討し,これと32名の〓本病患者, 14名の単純性甲状腺腫患者及び5名のSLE患者と比較した結果, バセドウ病患者の90%が抗DNA抗体を有し,SLEをのぞく他の疾患では20ー30%にしか抗DNA抗体の存在しないことが明らかになった. この抗DNA抗体はバセドウ病発生の原因物貭とされるTSH recepdor抗体(TRab)と平行し,しかもバセドウ病の治療により次方に減少して行くこと,又バセドウ病より寛解した症例ではTRabと共に陰性化するが,寛解しない症例ではTRabと共に引きつづき存在することが明らかになった. 同時にリンパ球のHLAーDR表現について検討すると, 抗DNA抗体は未治療時,治療中及び寛解時にHLAーDR表現とよく平行することが明らかになった. したがって從来全く知られていなかった抗DNA抗体がたしかにバセドウ病患者に存在し,その免疫異常の一端を示すものと考えられた. 更にこの考えをたしかめるため,184名の寛解したバセドウ病患者につき追求した. その結果,23名(12.5%)にclinicalな再発,又9名(4.1%)にsubclinicalな再発を認めた. こうした症例を検討すると,Clinicalな再発例ではT_3,T_4,FT_4の上昇と前後してTRab,抗DNA抗体の上昇することが明らかになった. しかしsubclinicalな再発例では,そうしたTRab,抗DNA抗体の上昇はみられなかった. したがってバセドウ病再発の点からも抗DNA抗体がバセドウ病の成因と密接な関係を有することが明らかになった. 現在この抗DNA抗体の性貭につき生化学的検討が行はれており,近くその全体が明らかになるものと思はわる.
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