研究概要 |
Ketosis pronessの機序解明の目的からヒトにおいては低インスリン血症に対する組織反応性, ケトアシドーシス(DKA)および非ケトン性高浸透圧性昏睡(NKHDC)例におけるケトン体調節, また糖尿病ラットおよびラット肝細胞ではケトン体調節の面よりホルモン応答性および機構の検討を行った. (1)ソマトスタチン, 少量エピネフリンおよびグルカゴン注入下に血中ケトン体反応性を検討したがIDDMに比しNIDDMではケトン体上昇の示しにくい症例が存在しNIDDM患者における組織での低インスリン血症に対する代謝応答不全の存在が示唆された. (2)DKAおよびNKHDCではインスリン,インスリン拮抗ホルモンに明らかな差異を認めなかったが, Vasopressin(Vp)はDKAに比しNKHDCにおいて上昇しており cーkinaseがケトン体産生を抑制してる可能性が示唆された. (3)慢性糖尿病ラットにおいてVp単独静注により血糖および血中ケトン体が上昇したが, グルカゴンの著明な上昇も認めたため, 内因性グルカゴンインスリン分泌抑制のため同時にソマトスタチン注入を行うと血糖は上昇させたが, ケトン体は低下しNKHDC発症におけるcーkinaseの役割が示唆された. (4)ラット肝細胞において短期(1時間)にはグルカゴン, カテコラシンはケトン体産生を増加させたがcーkinaneを活性化するTPA,djacylーglycerol,Vpはグルカゴンカテコラシンの作用を抑制し, この作用は律速酵素であるcarnitineーpalmitoly transferase(CPT)の活性調節で発現していることを示した. また長期(24時間)ではグルカゴンはケトン体産生を増加させ, 低濃度ステロイド, インスリンはこれを抑制し, この作用はCPTの酵素量の調節に由来すると考えられた. 今後はNIDDM,IDDMの判定におけるケトン体測定値の判別関数化, インスリン感受性規定要因としての拮抗ホルモンの関与と役割, ヒト肝細胞ラインを用いてケトン体産生調節における酵素の燐酸化・脱燐酸化および誘道機構の検討を行ないたい.
|