研究概要 |
各種ヒト甲状腺細胞を初代培養し, ^<175>IーEGFの結合性,EGFおよびTSHによる^3Hチミジン摂取を検討した. 全細胞に高の低2つの親和性を示す受容体を認めた. 正常細胞の高親和性成分は, 親和査数Ka1:9.60±1.31×10^9M^<-1>,結合能Cma×1:4.04±1.58×10^41細胞であった. 分化癌のKa1は有意に低く, 良性腺腫は正常細胞より高値を示した. バセドウ病は, KKa1,Cmax1ともの有意に低かった. 10MのEGFは, 正常細胞の3H4ミジン量取を1.5倍増加させ, 癌, 良性腺腫でも良好な反応がみられた. バセドウ病は,基礎値が高く反応が乏しかった. 300μUlmlのTSHは, 正常,癌およびバセドウ病には増殖刺激を示さなかったが, 良性腺腫のみでは153.2%の^3Hチミジン摂取増加をおこした. さらに, 正常と良性腺腫を通じて, Ka1と基礎およびEGFによる^3Hチミジン摂取の間に有意の逆相関(γ=-0.724)を認めた. 以上, 正常, 癌, 良性腺枝およびバセドウ病の細胞増殖の差異を明らかにするとともに, 腺腫においてのみTSHが増殖刺激を有することを示し, いづれも新らしい知見として注目されている. ラット機能性甲状腺細胞株FRTLー5は,EGF受容体を欠くとされていたが, MRNAを採取しヒトEGF受容体に対するcDNA(pE7)および高い類似性を有するV426BのcDNAを用いてNorth4rn blottinpし, 受容体は確かに存在し, ^<1n>ーIーEGFが結合しないのは点突然変異と推論した. さらに,FRTLー5から8ーアザグアニン耐性株と分離した. 得られた2株はTSHに反応して増殖し, コード摂取, サイログロブリン全成を示した. これらは細胞融合に陸都合な株であり, バセドウ病およびヒト皮膚線維芽細胞HELと融合した. 融合細胞は, ヒトおよびラットサイログロブリンおよびT.ナ_<3.ニ>をTSHに反応しい産性した. ことに, T.ナ_<3.ニ>産生性を欠くと細胞の融合でホルモン分成がみられたことは, 貴重な知見である.
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