1.ヒト胎盤性インスリン受容体タンパク質(HIRP)のペプチドフラグメントの化学合成:昭和62年度において計画したHIRP関連ペプチドの固相法による化学合成を完了し、その純度と構造を確認、抗原としてもちいうることを証明した。 2.合成ペプチドに対する抗血清の作製:上記1で得た各合成ペプチドを抗原として抗血清の作製を試み、現在までに、本研究の目的に使用し得るものを17種類得た。 3.抗合成ペプチド血清をもちいるHIRP特異RIAの確立:抗合成ペブチド血清および抗原ペプチドをもちい。HIRP部位特異RIA系を確立しこれにより、HIRPを定量すのことをはじめて可能にした。 4.抗合成ペプチド血清をもちいる免疫組織化学的研究:抗合成ペプチド血清をもちい、ヒト胎盤組織を免疫染色し、いずれの抗血清も合胞体栄養細胞膜に特異的に反応することを確認することによりこれら抗血清の有効性と有用性を証明した。 5.抗合成ペプチド血清をもちいる生化学的研究:(a)胎盤性HIRPの2種の分子種を分別証明するともに、それらのインスリン結合能に対するpHならびに塩濃度の影響の特異性を明らかにした。(b)ヒト肝ガン由来培養細胞にHIRPの存在を証明するとともに、そのインスリン結合能を免疫化学的に解析した。(c)胎盤性HIRPのαサブユニットN端部がインスリン結合に関与していることを明らかにした。(d)胎盤性HIRPαサブユニットのC端領域およびβサブユニットの膜直下領域にαβ型、α_2β_2型においてともに分子表面に露出した構造をとっていることを明らかにした。(e)ヒト単核球HIRPが本研究の抗血清をもちいて解析しうることを証明し、その分子型が胎盤性HIRPα_2β_2型に一致することを明らかにした。
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