研究概要 |
〈目的〉我々は甲状腺組織中にプロテオグリカンが存在することを明らかにしたが, その化学的性貭や甲状腺機能との関係は必ずしも明らかではないので, 今回甲状腺細胞培養を用いてプロテオグリカンの生合成を調べ, 甲状腺細胞の増殖, ホルモン分泌とプロテオグリカンの関係を明らかにする. 〈方法〉ラット甲状腺細胞(FRTL)をHAM′S F12培養液(5%ウシ胎児血清及び6種類のホルモンー6Hを含む)で培養し, 実験に際しては72時間実験条件下で培養した. 最後の72時間目に^<35>SO_4.^3Hーglucosamine, ^<35>Sーcysteinなどと培養した. 培養終了後, 培養液と細胞層を分け, 培養液にはguanidine HCLを最終濃度4Mになるよう加え, 細胞層は4M guanidine HCL.2% Triton Xで抽出し, 両者に蛋白分解酵素阻止剤を加えた. 利用されない放射活性はSephadex G50で除去し, プロテオグリカンをQーSepharoseに抽出させ, 0.15〜1.5M NaCl濃度勾配で溶出して精製し, OH/BH_4処理, Chondroitin AC, ABC処理などの前後でSepharose CL6Bカラムで分子サイズの変化を調べた. 〈成績〉これらの成績から甲状腺細胞は分子量3万のコンドロイチン硫酸1〜2本が糖蛋白についたプロテオグリカンと同じく分子量3万のヘパラン硫酸が1〜2本糖蛋白についたプロテオグリカンを合成している. 前者は細胞外にほとんどすべて分泌され, 後者はほとんどすべて細胞層にとどまる. 甲状腺ホルモンの分泌や増殖がTSHやBT_2 AMPによって刺激されると両者にとりこまれる^<35>Sが用量反応的に増加する. プロテオグリカンのsulfationの程度やcysteinからの硫酸基の供給はTSHやBt_2AMPによって変化しないから, ^<35>Sのとりこみの増加はプロテオグリカン合成の増加を反映している. TSHまたはBt_2AMPによるプロテオグリカンの増加は^3Hーthymidineのとりこみによく比例している.
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