研究分担者 |
須田 年生 自治医科大学, 医学部, 講師 (60118453)
元吉 和夫 自治医科大学, 医学部, 助教授 (80137702)
中村 充 自治医科大学, 医学部, 助手 (20198237)
野尻 久雄 自治医科大学, 医学部, 助手 (70180742)
北川 誠一 自治医科大学, 医学部, 講師 (50133278)
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研究概要 |
白血病・悪性リンパ腫の典型的病態は他の悪性腫瘍と同様, 各々を特徴付ける腫瘍細胞の無制限増殖と分化の停止或いは異常, 即ち正常機能を脱落し癌形質を発現した幼弱細胞の蓄積, に基づく. 本研究では無制限増殖能を有する白血病幹細胞の増殖動態と分化異常を, 細胞質内或いは外部環境に産生される増殖因子及び増殖阻止因子の発現並びに活性化様式の側面から分子レベルで解析し, 正常造血幹細胞の増殖・分化動態との相異ならびに白血病細胞が表現する癌形質の本体を究明することを目的とし, 本年度は以下の諸点を明らかにした. 白血病細胞(株)の無限増殖:1)培養系では無限増殖が不可能な正常ヒト臍帯血及び慢性骨髄性白血病慢性期末梢血の単核球にE1A遺伝子(gAE1Aプラスミド)をプリッキング法で導入し, 無限増殖可能な永代培養株を樹立した. E1A遺伝子はヒトmyc遺伝子と同様に幹細胞や腫瘍細胞の不死化(Emmotalization)に密接に関連した遺伝子と考えられ, その産物と無限増殖との関連を解析中である. 2)また最近樹立成功した単球系細胞株JOSKーl細胞において無刺激で常時産生されているインターロイキン1(|Lーl)が造血因子GMーOSFの産生を促し,これと協調してJOSKーl細胞自身の自律(Autocrine)増殖因子となっている事実を見出した. 単球系白血病の病態との密接な関連が予想される;3)インターロイキン3(|Lー3)依存性マウス白血病細胞株NFSー60細胞に|Lー3遺伝子をエレクトロポレーション法で導入したところ, 自律増殖能を獲得して|Lー3非依存性となり, |Lー3産生能の異なる幾つかの亜細胞株が得られた. 各亜株の増殖動態と表現型との相関を解析中である. 白血病性形質(癌形質):表面膜構成因子(膜脂質, 膜蛋白)に着目し, その物質的異常を化学的分析及び特異抗体を使った免疫化学的方法で解析した. 白血病細胞には系統特異的なシアロ糖脂質の発現不全があり, これが分化の停止, 分化異常と密接に関連していることが判明した.
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