研究概要 |
3次元立体構築システムの改良点として,顕微鏡画像の認識,取込み部分の良及び各種臓器別像統合化能力の向上を達成した. 実際に,胎生5週から22週のヒト胎児連続切片,計13体の標本を用い,合計1967切片にて膵胆管合流部の発生学を3元次立体構築像を用いて検討した. 形態的検討では,膵胆管合流部を各胎令において明らかにしたと同時に,膵胆管合流部が胎生7週以前には十二指腸壁外にあり,発生の進行と共に十二指腸壁内に位置する事が認められた. 又,腹側膵管と背側膵管の合流は,胎生初期には膵管腔と膵管の区別が困難であることなどのため17週の標本で初めて解析しえた. またOdQこの〓約筋の形成は胎令10週前後と推察された. 計画形態的には組識切片という平面上でのみで述べられている距離,面積などの値はZ軸方向の距離を無視しているため極めて誤差が大きく,慎重な取扱いの必要な事を指摘出来た. この研究成果は第24回日本小児外科学会総会に発表し,最優秀展示賞をえている. 昭和62年9月にはNEWSエンジニアリングワークステーションが導入され,すでに開発されていた解析ソフトウエアを改良すると共に,同ワークステーションに改変してインストールした. 顕微鏡画像情報を立体化して検討することの意義は,平面上では理解困難なミクロスコピックな形態を容易に理解させる事にある. この過程で最も困難は事柄は,再,講築のために極めて多数の連続切片をつくる必要があることである. 体長10mmの標本でも10μmで連続切片を作製すれば1000枚にもなり,実際にこの作業を続けているわけである. 考え方としては,この作業をなくして立体像を得られる様にするべきであり,既在の技術では困難なため,これに必要な基礎実験をはじめた.
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