当初の計画通りNEWSエンジニアリングワークステーションが導入され、従来使用していた立体構築システムが、ワークステーションに改良の上移植された。このシステムを用いて、ブタ胎仔標本にて、主として矢状断連続切片標本を作製して、画像入力を進め、cloacaを中心に直腸肛門部、泌尿生殖部の立体構築像を作成した。基本的には視点の高さ、回転角度を変えた多数の画像を作成して観察して新知見をえている。 顕微画像情報を立体化像として観察する事は、平面上で二次元像を並べても理解が困難な、複雑な解剖学的な形態を容易に理解出来る様にする事にある。特に日常見慣れない発生学的に特定の時期の複雑な構造は連続切片でもう一つの三次元像でも理解は出来ない事が多い。 人の網膜は平面であり、立体的に見える事、即ち立体感は単に両眼視機能及びこれにより得られた学習効果によるものである。従って立体構築像を作成する時に、人に理解させる為には、表示方法を考慮して工夫しなければならない。我々の行った方法は、現時点での計算機が画像を出力するのに時間のかかる事より、各画像をビデオテープに記録してこれを高速度にて再現する事により立体構造を理解させる方法である。視点の高さを一定にして1°ごとに画像を記録して行き、360°回転する様に見せるわけである。更に視点を次第に変えて行く。この成果は第26回日本小児外科学会(平成元年6月)において報告する予定である。この材料はヒト胎生10週を中心とした膵胆管合流部及び胎生26日を中心としたブタのcloaca、直腸肛門部の発生過程についてである。 基本的な作業としてなお、我々の確立している鋭肛ブタ家系を維持し、この家系内交配により鋭肛ブタ胎仔標本を得る事をつとめた。24〜60日令のブタ胎仔100体以上を確保し、主として失状断連続切片標本を作成して、この研究を可能にする事が出来た。
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