研究概要 |
磁性超微粒子を用いる細胞内加温治療の基礎的実験を本年購入した高周波リニアアンプを接続し,高エネルギーのもとで施行し,以下の結果を得た. 用いた超微粒子は,Fe Iron Metal(200mesh),SUS430LN(100mesh),MnZnフェライト,3Cフェライト,Fe_3O_4およびFe_2O_3である. 方法としては周波数500KHzの誘導加温装置でアプリケータとしてはパンケーキ型コイル(4巻)を用いた. ファントムとしてはInvitro実験では寒天ファントムで磁性体をそれぞれ32,16,8,4,2%となるように混合せしめた. Invionで実験ではラットの腹水肝癌AH60Cを用い,60%グルコースにFe_2O_4,Fe Iron Metalを50mg/ml/ratとし3Cでは50mg/ml/ratと500mg/ml/ratとし腹腔内に注入し,癌細胞が〓食しているのを確認し,加温は24時間および96時間後に40℃以上,10分間を目標に印加し,腹水肝癌ラットの延命率を検討した. 結果:500KHZ誘導印中加はFe_3O_4,Fe Iron Metal,SUS430LNついで3Cが良好な励起状態を示したがFe_2O_3とMnZnフイライトは低い励起率にとどまった. Invivoの実験では3Cが良好な励起を示し,印加時のラット腹壁の温度分布をサーモグラフ 下に確認した. 延命率の検討においては,最も著明な延長を示してのはFe Iron Metal,Fe_3O_4の注入された腹水肝癌群でその40日後の生存率は66%(4/6)を高く,3Cでは50mg/ml/rat群において40%(2/5)の生存率を得た. コントロール群はすべて20日前後で死亡した. 注入直後,第一回目印加後,第2回目印加すに腹水貯癌細胞を組織学的に,細胞内磁性〓の存在を検討したところ,24時間ですでにほとんどの癌細胞内に粒子が存在し,加温が有効に作用し得ることを示唆していた. 今回用いた微粒子で興味を引くのは3Cフイライトであり,Tc=43℃と異常高温になる危険はなく臨床応用に一歩近づいたと考えている.
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