研究概要 |
エンドトキシン(Et)ショック犬に対するPMXーFカラムによるDHP治療を行い有意の治療成績を再確認した. しかしトキシカラー,Esテストにて,血中Et濃度変化は,差が無かった. また,I^<132>ラベルEtを用いたin vitro実験では,PMXーFによる吸着を検討し,水溶液中では明確なEt除去作用を認めたが血漿中では有意の差が確認できなかった. この成績は血中でのEt構造変化に基くと考えられ,ラべルの核種と固定化方法を変更する必要があると考えられた. Et shockでの毒性物質については数多くの報告がある中で,物質として確認されたrecombinant tumor necrosis factor(TNF)について,ラットによりその毒性を検討した. 外国の諸家によるTNFについての報告の様なショックは全く認めなかった. 一方,脂質の一部が毒性を持つと報告されているが,現在精製段階にあり,この物質をラットに注入すると著しい肺,腎等への出血を起こすことが確認された. ARDSや体外循環時の肺障害の原因物質としては重要な役割を成している可能性が十分に考えられる. 本物質や,TNF,サイトカイン等PMXーFによる除去の可否については今後の問題であるE.coli生菌注入によるseptic shock実験系では本研究費にて購入した心拍出量計にて,循環動態のチェックを行ない治療と対照群の間に顕著な循環動態の差を認めた. PMXーFによる治療実験は雑種成犬10頭にE.coliを10^8CFU/kg1時間かけて注入5頭にDHP治療を2時間に渡って行い治療群とした. 血小板,血糖,乳酸値,血中菌数は治療群で有意の差が出た. 又,生存率も,コントロール群が18時間内に全例死亡するのに対し治療群では3日目,7日目に1例づつ死亡したが, 3頭は14日以上生存した. しかし本結果はショック実験時程の差は認められなかった.
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