研究課題
膵より分離した膵ランゲルハンス島(以下ラ島)を凍結保存し、ラ島のviabilityをin vitroおよびin vivoで検討した。実験動物はwistar系雄ラットを使用した。ラット膵からコラゲナ-ゼ消化法とFicoll濃度勾配遠沈法によりラ島を分離、純化し、単離ラ島とした。ラ島の凍結には凍害防止剤としてDimethylsulfoxideを用い、冷却速度0.25℃/minの緩徐凍結と、25℃/minの急速凍結を行った。ともに-40℃まで冷却し-196℃の液体窒素中に保存した。解凍は急速解凍を行い,解凍後24時間の培養を加えた。in vitroのviabilityの評価はラ島灌流法を用い、冷却速度などの諸条件がラ島の動態的インスリン分泌反応に及ぼす影響を検討した。さらに凍結保存ラ島の門脈内同種移植を行い、移植4週後に施行した経静脈的糖負荷試験(以下iVGTT)と移植ラ島の組織学的検討によりin vivoでのviabilityを評価した。成績は以下のごとくであった。1)コラゲラ-ゼによる消化後のラ島数は594.3±103.7個/匹であり、Ficollを用いたラ島純化強のラ島数は509.1±79.7個/匹で、回収率は85.5±3.5%であった。2)新鮮分離ラ島はラ島灌流法にて2相性のインスリン分泌反応を示した。3)凍結保存ラ島は、解凍後に培養を加えることにより、新鮮ラ島に比し分泌量は低いもののインスリン分泌反応の改善がみられ、viabilityを良好に保ち得た。4)急速凍結法では緩徐凍結法に比し分泌量は低い傾向にあったが、緩徐凍結法とほぼ同様の分泌反応を示した。5)凍結保存ラ島の同種移植により、糖尿病ラットは正常血糖に復し、iVGTTにてK値1.49%/minと良好な値を示し、組織学的検索でも生着が確認された。
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