研究分担者 |
遠藤 正章 弘前大学, 医学部, 助手 (30194046)
福嶋 貴 弘前大学, 医学部付属病院, 医員
高橋 賢一 弘前大学, 医学部, 助手
鈴木 英登士 弘前大学, 医学部, 講師 (60142858)
佐々木 睦夫 弘前大学, 医学部付属病院, 講師 (10005077)
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研究概要 |
1)ヒト肝内結石の生化学的、組織化学的分析:ヒト肝内結石を破砕しDMSO、クロロフォルム、メタノール、N_aOHで処理後中和し6M尿素に溶解した。CL-6Bによるゲル濾過を施行した所、高分子領域はムチン型糖蛋白質、低分子領域は血清型糖蛋白質より構成されていることが判明した。以上の結果は肝内結石症患者の肝胆汁と同じ成績であった。次に肝内結石より15μの薄片を作成し、PAS染色およびレクチンによる染色を行った。その結果結石中にはムチン型糖蛋白質が層状に染色され、結石の生長と密接に関連を有していることが示唆された。 2)実験モデルによる検討:モデルとしてはイヌ左肝内胆管に狭窄を起こさぬ内径を有するシリコンチューブを間置し、胆汁うっ帯モデルとした。1年間胆汁うっ滞させた後に門脈内に1×10^8個の大腸菌を注入し、うっ滞感染モデルとし各々の肝胆汁を生化学的に分析した。その結果、まず胆汁中糖蛋白質はうっ滞群、うっ滞感染群では軽度の上昇を示した。一方、シアル酸はうっ滞、うっ滞感染群と進むにつれ徐々に増加して行った。またその組成は高分子領域ではムチン型糖蛋白質、低分子領域では血清型糖蛋白質より構成されていた。SDSポリアクリルアミド電気泳動で検討した所、対照群では分子量約70,000バンドが一番濃く染色され、次に60,000、36,000、30,000、18,000のバンドが主なものであるが、うっ滞群では70,000のバンドは薄くなり、74,000またはそれ以上の分子量の蛋白が増加する。この傾向はうっ滞群よりうっ滞感染群でさらに著明となった。すなわち、対照群に比べ70,000以下の蛋白質が減少し、かわりに70,000以下の蛋白が増加しており蛋白質の高分子化が認められた。 以上の成績より肝内結石の成因を考察すると、まず胆汁うっ滞がその母地となりこれに細菌感染が加わることにより糖蛋白質が高分子化され、結石生成となる可能性が強く示唆された。
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