研究課題/領域番号 |
62480279
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
畠山 勝義 新潟大学, 医学部, 講師 (90134923)
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研究分担者 |
鹿島 雄治 新潟大学, 医学部附属病院, 医員
太田 一寿 新潟大学, 医学部附属病院, 医員
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キーワード | DMH誘発ラット大腸癌 / 皮下継代株 / 細胞培養株 |
研究概要 |
前年度はDMH誘発ラット大腸癌の皮下継代株より細胞培養株RCN-9を樹立し検討したが、本年度は15代皮下継代株を培養材料とし、細胞分散法により初代培養を行い、現在までに75代にわたって継代維持されている細胞培養株ACL-15について検討した。 この細胞培養株ACL-15は約24時間の倍加時間をもち、細胞飽和密度は5.6×10^5個/cm^2で、染色体モ-ドは89(84〜91)で、多角形細胞が単層敷石状に増殖し、組織学的には印環細胞を有する低分化腺癌である。これを2×10^6個/mlの細胞浮遊液にして脾臓内に注入すると、21日目には7匹中全例に平均転移結節数が64個(34〜100)の肝転移を認める。これは言わば門脈内注入と同様に人工的肝転移と称されるべきものである。そこで5×10^6個/0.1mlの細胞浮遊液を盲腸漿膜下に移植して、その後の肝転移の有無を検討すると、7匹中2匹に(65日後)認められ、これは自然転移能を示すものと思われる。 一方、2×10^6個/mlの細胞浮遊液を尾静脈から注入すると、21日目には5匹すべてに平均転移結節数11.4個(4〜19)の肺転移が認められる(人工肺転移)。1×10^7個/mlのものを右前胸部皮下に移植すると、70日目には7匹すべてに腫瘍が生着し、全例とも肺転移を認める(自然肺転移)。 以上の実験より、自然転移能(肝及び肺転移)を有する細胞株が樹立され、さらに追加実験を行っているが本邦ではいまだ報告がないことより、統計学的処理のできるまで実験を継続する予定である。
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