研究課題/領域番号 |
62480282
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
真辺 忠夫 京都大学, 医学部, 講師 (80127141)
|
研究分担者 |
宮下 正 京都大学, 医学部, 助手 (80182020)
井上 一知 京都大学, 医学部, 講師 (90168435)
|
キーワード | 急性膵炎 / 膵酵素 / 活性酸素 / ライソゾーム酵素 / エチオニン膵炎 / SOD / カテプシンD / cholecysokinin(CCK) |
研究概要 |
本年度は、急性膵炎の膵酵素逸脱機序に関与する活性酵素の役割、さらに活性酵素に及ぼすライソゾーム酵素の作用、消化管ホルモンの影響をマウスエチオニン膵炎、犬膵管内胆汁注入膵炎について実験を行い以下の結果を得た。 1、エチオニン投与マウス出血壊死性膵炎においては、エチオニン投与後、膵腺房細胞において活性酸素(O_2^-)の産生に関与するキサンチンオキシダーゼ活性が上昇するとともに、活性酸素スカベンジャーであるSuper oxide dismutase(SOD)活性が膵炎の進行に伴って有意な低下を来し膵炎の発症進行機序に相対的活性酸素に上昇がみられることが明らかとなった。 2、活性酸素優位の環境は膵炎の進行に伴うライソゾーム酵素動態、膵酵素動態とも一致し、活性酸素上昇に一致したinvitro膵アミラーゼの遊離、カテプシンDの上昇がみられた。 3、犬における胆汁注入膵炎モデルにおいて、経時的に多形核白血球を分離し、2ymosan刺激下にチトクロームC法により白血球からの活性酸素(O_2^-)産生量を観察してみると、単位血液量あたりのO_2^-産生量は著明に増加し、この傾向が持続することが明からとなった。このことは膵炎におれる膵腺房細胞障害、肺、腎障害さらにはDleなどの発生に白血球由来の活性酸素が関与する可能性を示唆した。 4、犬胆汁注入膵炎作成後のcholecystoinin(CCK)動態をみると、膵炎作成後血中レベルのCCKは膵炎の進行に伴って上昇し、CCKは膵炎の進展に何らかの役割を担っていることが明らかとなった。 以上、急性膵炎の膵腺房細胞の破壊機序さらいその進展機序として、活性酸素種が、ライソゾーム酵素、CCKとともに重要な役割を演じていることが明らかになったきた。
|