研究概要 |
I)実験的研究 1)肝細胞癌培養細胞株の樹立:人肝細胞癌細胞の生物学的特性を知るとともに, 免疫化学療法の効果とその発現機序を明らかにするため, 肝細胞癌細胞の培養系を樹立し, 主としてその蛋白合成能につき検討を加えた. (Gas traen terologia Japonica V.22に掲載) 2)ヌードマウス継代移植ヒト肝細胞癌株の樹立:AFP産生ヒト肝細胞癌のヌードマウス可移植株を用い, in vivoの実験系における固形癌としての肝細胞癌の発育様式とこれに関与する因子について, とくに腫瘍血管の新生とプロスタグランディンの関連について検討を加えた. (日本消化器病学会雑誌V.84に掲載) 3)VX_2カルチノーマ担癌家兎に対する高張塩処理血漿投与の影響:VX_2担癌家兎より得た血漿を高張塩(0.5M kcl又は1.5M Nacl)処理し, 静脈内投与の影響を検討し, 対照に比し有意な生存期間の延長を認めるとともに, 腫傷細胞の壊死現象を組織学的に確認した. (The 8^<+h> Asia Pacific Cancer Conference 1987, 9, 第25回日本臨床免疫学会1987, 7, 発表) II)臨床的研究 1)癌症例における血中CIC測定の意義:高張塩処理自己血漿投与による抗腫瘍効果は担癌生体の血中CICに作用することによってその効果が得られるものと推定されているが, その機序はいまだ解明されていない. CICの組成状態や治療前後の血中CICの変動について検討を加えた. (第29回日本消化器病学会大会にて発表)2)各種癌症例に対する高張塩処理及びprotein Aカラム処理自己血漿投与の臨床成績:現在までに直腸癌や乳癌の再発例, 転移性肺癌などに本法を試み, 臨床円状の改善, 生存期間の延長, 腫瘍マーカー値の低下を認め, (第25回日本癌治療学会総会 1987,10発表), 現在, 転移性肝癌や肝細胞癌にも応用している.
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