研究課題/領域番号 |
62480283
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研究機関 | 島根医科大学 |
研究代表者 |
中瀬 明 島根医科大学, 医学部, 教授 (40025565)
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研究分担者 |
内藤 篤 島根医科大学, 医学部, 助手 (80207688)
野原 隆彦 島根医科大学, 医学部, 助手 (70180768)
山本 剛史 島根医科大学, 医学部, 講師 (30135561)
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キーワード | 間欠的肝動脈遮断 / 肝細胞癌 / 転移性肝癌 / Tc99mMAAシンチグラフィー / 高張塩処理自己血漿 / ヌードマウス継代移植ヒト肝細胞癌 / 無血清下倍養ヒト肝細胞癌細胞 / プロスタグランディンE_2 |
研究概要 |
1. 臨床的研究 切除不能肝癌に対する新しい治療法としてdouble lumen balloon Ctaheterによる間欠的肝動脈遮断と制癌剤併用療法を考案し、肝細胞癌19例、転移性肝癌14例に施行した。治療成績を腫瘍縮少率50%以上およびKaplan-Meier による累積一年生存率でみると肝細胞癌は73.7%と51.6%、転移性肝癌は35.7%と23.1%で、肝細胞癌においてきわめて良好な成績が得られた。肝細胞癌に対する本法の有用性を解明するためTc99m-MAAシンチグラフィーを用い肝細胞癌の腫瘍血行動態に及ぼす肝動脈遮断の影響について検討したところ、腫瘍部の動脈血流量は非腫瘍部の約3.3倍であるが、バルーン拡張による動脈遮断下では8.8倍に上昇すること、しかし動脈遮断によって動脈性血行の腫瘍内分布域が狭少となることが判明し、動脈遮断下と非遮断下の制癌剤併用投与の合理性が示された。また、高張塩処理自己血漿の静脈内投与による腫瘍の急性壊死現象についてはすでに実験的に明らかにしているが、その臨床応用として諸種の治療に抗した進行悪性腫瘍18例に本法を施行し、18例中13例に肉眼的あるいは腫瘍マーカーや光顕的検討において何らかの変化を認め、とくに殺細胞性抗癌剤との併用が有効であることを認めた。 2. 実験的研究 ヌードマウス継代移植ヒト肝細胞癌株および無血清下倍養ヒト肝細胞癌株を樹立し、in vivoおよびin vitro の実験系において肝細胞癌の生物学的特性につき検討を加え、ヒト肝癌細胞がAFP、アルブミンのみならずトランスフェリン、フイブロネクチンなどの産生能を有すること、また、肝細胞癌細胞がプロスタグランディンE_2を産生し、これが肝細胞癌の発育増殖に大きく関与していることを明らかにした。
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