研究課題/領域番号 |
62480284
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
消化器外科学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
杉町 圭蔵 九州大学, 医学部, 教授 (00038762)
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研究分担者 |
掛地 吉弘 九州大学, 医学部, 医員
辻谷 俊一 九州大学, 医学部, 助手 (30188544)
森 正樹 九州大学, 医学部, 助手 (70190999)
前原 喜彦 九州大学, 医学部, 講師 (80165662)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1989
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キーワード | 胃癌 / 進展 / リンパ節転移 / 予後 / 細胞核DNA量分布パタ-ン / 制癌剤感受性 |
研究概要 |
細胞核DNA量は癌細胞の生物学的悪性度の指標として注目されており、細胞核DNA量と胃癌の深達度、転移などの胃癌の進展との関連について研究を行い、治療への応用の可能性についても検討を加えた。DNA量分布パタ-ンはIからIV型に分類し、分散幅の狭いI、II型をlow ploidy、広いI II、IV型をhigh ploidyに分類した。切除された胃癌254例を対象として深達度別に各DNAパタ-ンの頻度を比較すると、high ploidy群は深達度が進むにつれて増加し、この傾向は未分化型において顕著であった。未分化型ss-s癌を組織学的に児玉らの分類に従って集簇状態で分類すると、癌細胞が胞巣をつくる集簇型とhigh ploidy群、遊離型とlow ploidy群が関連があった。ssまたはseの各層別にDNAを測定すると分化型で15%(3/20)、未分化型で30%(6/20)にいずれかの層でII型およびIII型間に移行が認められ、深部に進行するにつれて分散幅が広がる傾向であった。リンパ節転移をみるとlow ploidy群では転移率が26%(39/152)であるのに、high ploidy群では49%(50/102)で有意に高率であり、深達度別に比較してもhigh ploidy群に転移が高率であった。リンパ節転移巣のDNAパタ-ンが原発巣に比してより狭い分散を示すploidy reductionが60.7%(37/67)に認められた。この現象にはリンパ節の免疫反応が関与が示唆された。5年生存率は全体でlow ploidy群がか91%で、high ploidy群の74%に比べて有意に良好であり、特にリンパ節転移症例において両群間の予後に差がみられた。さらに多変量解析によりDNAパタ-ンは独立した予後因子であることが判明した。癌細胞の感受性をSDI法で分析し、DNAパタ-ンとの相関について検討すると、特に未分化型においてIV型胃癌はII型、III型に比し各種薬剤についてに対し感受性が高かった。以上より細胞核DNA量は悪性度を表す指標として重要であることが明かになり、また治療への応用の可能性が示唆された。
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