研究課題/領域番号 |
62480285
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
兼松 隆之 九州大学, 医学部, 助教授 (40128004)
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研究分担者 |
吉田 康洋 国立福岡中央病院, 外科, 医員
竹中 賢治 九州大学, 医学部, 講師 (30117155)
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キーワード | 肝硬変 / アミノグラム / 血清アルブミン / 栄養評価 / 特殊アミノ酸製剤ラットIVH(経静脈栄養) |
研究概要 |
肝硬変症例で、血清アルブミン、アミノグラムを測定した。肝硬変27例での血清アルブミン値は3.7±0.5g/dl(正常域3.9ー5.0g/dl)で低値傾向にあった。血中遊離アミノ酸は、側鎖型アミノ酸(BCAA;バリン、ロイシン、イソロイシン)と芳香族アミノ酸(AAA;フェニールアラニン、チロジン)の比、所謂、フィッシャー比で評価した。その結果、フィッシャー比は2.0±0.6(正常域2.6ー4.3)であり、これも低下していることがわかった。元来、血清アルブミン値、フィッシャー比は栄養評価の指標ともされており、肝硬変例は低栄養状態にあるといえる。そこで、BCAAを多量に含み、AAAを少くした、特殊アミノ酸製剤(GOー80)を投与した所、2週間後にはBCAAは2.6±0.2と上昇し、アミノ酸投与による効果を認めた。 実験的にはラットを用い、IVH装置にて、持続的経静脈栄養法の手技が確立した。今回は、呑龍ラットを用い、肝障害としては、HigginsーAnderson法にて68%肝切除を行った。今回投与薬剤としては、(A)ドーパミン、(B)生食水(コントロール)として、これらを経静脈的に、持続投与し、肝切除後24時間、30時間、72時間目の肝再生率、核分裂像肝機能検査を検討した。その結果、肝再生率は24時間目、(A)48.8±1.4、(B)44.9±6.0、30時間目(A)54.1±5.0、(B)41.0±5.1(P<0.01)、72時間目(A)83.9±6.4、(B)90.1±7.9であった。核分裂像は細胞1,000個あたり、24時間目(A)17.2±2.1、(B)14.0±4.3、30時間目(A)47.4±18.4、(B)22.6±6.6、72時間目(A)13.2±7.8、(B)7.8±2.5であった。肝機能に関しては、GOTアルブミン値は両群で差がなかった。 以上の如く、ラットIVH装置によるドーパミン投与により、肝機能に障害を与えず、肝再生を促す傾向が示唆された。
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