研究課題/領域番号 |
62480291
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
仲田 祐 東北大学, 抗酸菌病研究所, 教授 (20006068)
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研究分担者 |
斉藤 泰紀 東北大学, 抗酸菌病研究所, 助手 (90153824)
藤村 重文 東北大学, 抗酸菌病研究所, 助教授 (40006078)
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キーワード | 肺移植 / サル肺移植 / 拒絶反応監視 / 気管支肺胞洗浄液 / リンパ球自然芽球化反応 |
研究概要 |
前年度にひき続き、日本猿を用いて同種左肺移植実験を行なった。麻酔法、手術手技、気管支肺胞洗浄法、免疫抑制法の改良を行ない、拒絶反応のモニタリングを行なった。この結果、以下の点が明らかとなった。 1.麻酔方法は、enfliranの吸入麻酔にpancrciun branideの使用法が、安定した麻酔効果が獲られまた覚醒も速やかであり、適当である。 2.移植手技においては、使用する鉗子、糸を犬で使用する物より小さく、細い物を使用し、より細かく縫合することにより良好な吻合が可能。 3.移植に伴う移植肺の温阻血時間は、1時間以内での移植が可能であり、所用時間は犬で行なうのとほぼ同等であった。 4.気管支肺胞洗浄の方法は、気管支径が狭小なため、3mmファイバースコピーを用いて下葉支のB^9B^<10>で、注入吸引を10mlづつおこなうのが適当。 5.免疫抑制剤の投与は、経口投与で行なうことは難しく、皮下または筋肉内注射で行なう必要がある。 6.免疫抑制の不良なものでは、移植3-5日後で移植肺下葉肺門側に浸潤影が出現し、6-9日後で全肺野に拡大し、移植肺の拒絶が完成するのが認められた。 7.移植肺拒絶に伴う、末梢リンパ球の白経芽球化反応値(SB値)の変化は、明瞭ではなかった。これに対して拒絶反応時の気管支肺胞洗浄液のリンパ球では、同時に測定した末梢リンパ球SB値の3倍以上高値を示した。 8.移植肺拒絶に伴い、気管支肺胞洗浄液中の細胞数の著しい増加が認められた。また特に単球、リンパ球の占める割合の増加が認められた。 以上の結果より、日本猿においても、ラットと同様に気管支肺胞洗浄液の検索が移植肺拒絶反応の診断に有望であることが判明した。今後、免疫抑制下の長期生存モデルを作成し詳細な検討を行なう予定である。
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