研究課題/領域番号 |
62480291
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
藤村 重文 東北大学, 抗酸菌病研究所, 教授 (40006078)
|
研究分担者 |
半田 政志 東北大学, 抗酸菌病研究所, 助手 (70211498)
斉藤 泰紀 東北大学, 抗酸菌病研究所, 助手 (90153824)
|
キーワード | 肺移植 / サル肺移植 / 拒絶反応監視 / 気管支肺胞洗浄液 / リンパ球分画 / 気管支鏡 |
研究概要 |
前年度にひき続き、ニホンザルを用いて同種左肺移植実験を行った。免疫抑制法の改良を行い、移植後、経時的に気管支肺胞洗浄(BAL)を行い、気管支肺胞洗浄液(BALF)を用いて拒絶反応のモニタリングを行なった。この結果、以下の点が明かとなった。 1.免疫抑制剤として、cyclosporine 20mg/kg・day筋注、azathioprine 2.0mg/kg・day皮下注の投与では、十分な免疫抑制を得るためには、cyclosporineの移植1週間前よりの投与を行なう必要があった。 2.移植当日より免疫抑制剤の投与を開始したものでは、移植10-14日後頃に移植肺下葉肺門側に浸潤影が出現した。この陰影は、ステロイドのpulse thevapyによく反応し、胸部X線写真上、陰影の消失が認められた。しかし開胸肺生検では拒絶反応の持続を認め、その後も拒絶反応が再燃し、移植後1ヶ月以内にgvdff lossとなった。 3.移植1週間前よりcyclospovineの投与を開始したものでは、移植後1ヶ月間以上graftの生着が認められ、気管支鏡による観察でも気管支吻合部の創傷治癒が、移植後3週間で認められた。また開胸肺生検では、拒絶反応は認められても軽度であった。 4.移植肺の拒絶反応の進行に伴い、移植肺のBALF中の細胞数の増加が認められ、特にリンパ球、好中球の占める割合の増加が認められた。 5.移植肺の拒絶反応の進行に伴い、移植肺のBALF中のリンパ球のCD4/CD8の低下が認められた。 以上の結果より、ラットのような発達したbronchus associated lymphoid tissue(BALT)を持たないニホンザルにおいても、BALFの検索が移植肺拒絶の診断に有用であることが判明した。
|