研究課題/領域番号 |
62480293
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
胸部外科学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
伴 敏彦 京都大学, 医学部, 教授 (00173120)
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研究分担者 |
岡林 均 京都大学, 医学部, 助手 (10204009)
岡本 好史 京都大学, 医学部, 助教授 (80116392)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1989
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キーワード | エキシマレ-ザ- / XeCl / レ-ザ-血管形成術 / レ-ザ-内膜摘除術 / 虚血性心疾患 / 蒸散 / 熱損傷 / 石英ファイバ- |
研究概要 |
昭和62年度より平成元年度までの3年間、エキシマレ-ザ-を用いた重症虚血性心疾患に対する治療法を開発する目的で研究を行なってきた。1.豚心筋へのエキシマレ-ザ-照射実験:XeCl、KrFともに確実な組織の蒸散が可能であった。熱損傷は照射繰り返し頻度を上げるにつれ増大したが、XeClに比べKrFの方が軽度であった。XeClは30pps、KrF50ppsが適当と思われた。2.石英ファイバ-への導光実験:安定した出力としては3〜4mJが得られた。lm長のファイバ-伝送率は約40%であった。より多くエネルギ-を伝送するためには、レ-ザ-本体のロングパルス化が必要であることが判明した。3.犬正常動脈壁への照射後の組織治療過程:照射後の動脈壁は熱損傷を伴わず、鋭利な組織欠損を示した。過剰な内膜の増殖は認められず、このような治癒過程は欠陥形成術には好ましいと思われる。4.血液に対する照射の影響:遊離ヘモグロビンの増加をもたらすが、ヘマトクリット値の変化をもたらす程ではなく、影響は少なかった。5.動脈閉塞モデルでのレ-ザ-血管形成術:犬大腿動脈完全閉塞モデルでのレ-ザ-血管形成術を試み、再開通を得た。組織標本にて開通孔周囲に熱損傷を認めず、血管形成術におけるエキシマレ-ザ-の有用性を示す結果が得られた。6.レ-ザ-内膜摘除術:WHHLウサギの胸部下行大動脈に発生したアテロ-マに対し、直視下で照射した。従来の外科的内膜摘除術に比べ表面性状はやや不整であった。血流再開後でも血栓形成は認められなかった。以上の結果により、エキシマレ-ザ-は血管形成術には最も適したレ-ザ-であり、レ-ザ-本体のロングパルス化を行えば、最大の課題である導光路の問題も解決できることが判明した。今回は臨床応用するまでにはいたらなかったが、近い将来臨床応用も可能となるものと思われる。
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