研究概要 |
開心術起因の刺激伝導障害回避を目的として伝導系と周辺構造物と解剖学的関係を追究した結果, 完全房室ブロック防止の最重要点はHis束中枢側の無侵襲修復にあることを再確認した. そこで今回はHis束中枢側と三尖弁中隔尖(TSL)付着部との立体的位置関係を正常心, isolated VSD,TOFについて検討した. なお, VSDか分類はSotoらに従った. その結果は以下の如くである. isolated perimembranous VSDのinlet型とおいてはTSL付着部とHis束中枢側との距離が正常心と比べ有意に短く, またTSL最接近部伝導軸の高さがTSL付着部とほぼ同高に位置した. (正常心ではTSL最接近部伝導軸の高さがTSL付着部より高い)isolated perimembra no us VSD trabecular型やinfuudibular型においてはHis束, TSL付着部間距離と正常心と比べ有意の差は認めなかったが, isolated VSD及びTOFのinfuudibular型において, TSL最接近部伝導軸が他型や正常心に比べ, より中枢側(結節側)に近いとの結果を得た. 以上の結果は第52回日本循環器学会学術集会にて発表予定である. また電計機処理による伝導系立体表示の1環として今回は修正大血管転位につき検討しているが, 同症例の如く房室不一致の症例においてもbifurcation以下の伝導系走向と形態学的心室の心内構造物との関係は正常心におけるそれとほぼ同様であることが確認された. 上室性不整脈発生機序解明の為に上室伝導路の電気生理学的検索を行う予定であるが, 本年度はその基礎的資料収集の為の予備的実験を行った.
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