研究課題/領域番号 |
62480296
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
岩谷 文夫 福島県立医科大学, 医学部, 助教授 (90045758)
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研究分担者 |
萩原 賢一 福島県立医科大学, 医学部, 助手
阿部 俊文 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (50145603)
猪狩 次雄 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (50045796)
星野 俊一 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (60045630)
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キーワード | 完全置換型人工心臓 / 仔牛 / 混合静脈血酸素飽和度 / 経皮的酸素飽和度 / 圧電式センサ- / 駆動制御 |
研究概要 |
本年は本研究課題の最終年度にあたり、人工心臓置換動物の長期生存を得るべく、2頭のホルスタイン雄仔牛に置換手術を行なった。今回は混合静脈血酸素飽和度(SV^^nO_2)に加え、経皮的酸素飽和度(SaO_2)もモニタ-し、圧電式センサ-は体表に設置し、動物の歩行開始後にデ-タ採取を行なうことにした。 1頭目は体重53kgで、体外循環時間192分、手術時間340分であったが、術後循環動態は安定し、仔牛の術後の回復も良好であった。しかし術後1日7時間50分、突然の右房圧上昇とともに大動脈圧が下降し、右側人工心臓のトラブルと診断された。剖検にて右駆動膜に約3mm大の穿孔が認められた。2頭目は体重51kgで、体外循環時間は195分、手術時間370分であった。術後の血行動態は良好であったが、呼吸状態の回復悪く、人工呼吸器の使用が遷延した。この間、SV^^nO_2はSaO_2に比し、末梢循環状態の変化に良く反応し、循環動態の良い指標になるものと考えられた。本症例は術後5日呼吸不全にて死亡し、今回も置換動物を血行動態の安定した慢性期に移行することは出来なかった。しかしながら今回用いた市販ペ-スメ-カ-に内臓された圧電式センサ-は、予備実験でも報告した如く、生体の運動量によく反応し、至適なモ-ドの選択により運動量に応じた心拍数の変化による良好な心拍出量の増加が得られるものと考えられた。過去3年間における計7回の人工心臓置換実験において、当初の目的は達せられなかったが、置換動物の術後血行動態判定の指標として混合静脈血酸素飽和度は極めて有用であることが確認でき、今後人工心臓の改良、手術手枝の確立により安定した実験モデルを得ることにより、本法の有用性は証明できるものと考えている。
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