研究概要 |
本研究は肺移植後の拒絶反応に関する研究としてスタ-トしたが、初年度は移植後の生存期間延長の為に、雑種成犬を対象とする循環動態的な研究が主となった。その要旨は"IIistologic and hemodynamic investigation on canine lung allografts"としてJap.J.Surgery(vol.18,1988)に掲載した。小動物(ラット)ては拡大顕微鏡を使用したsinglelung transplantationを繰り返し、その成果については"ラット肺移植実験の手術手技"(福岡大学医学紀要vol.15,1988)に掲載した。2年目以降、本格的に拒絶反応の場を対象とする、組織学的・免疫学的研究に取り組んだ。これ迄肺における拒絶反応については、その発症を肺胞障害とする考えがあったが、我々の成犬を対象とする光顕・電顕的研究では拒絶反応は単核球浸潤による肺小血管の内皮細胞と血管基底膜の障害をスタ-トとする、との結論が確認された。この血管障害に関し、担当細胞の種類の同定の為、ラット移植肺で免疫染色を実施してみたが、移植肺生着例が期待した程得られず、結局不十分な結果となった。 上記の研究より発生する形となったが、2年目以降double lungの移植及び肺葉移植を行い、single lung移植時と同様な循環動態・組織反応に関する検討を行なった。それらの成果についても、関係医学誌に掲載した。
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