研究課題/領域番号 |
62480301
|
研究機関 | 国立循環器病センター |
研究代表者 |
佐田 正晴 国立循環器病センター研究所, 実験治療開発部, 室員 (20162399)
|
研究分担者 |
由谷 親夫 国立循環器病センター, 研究所・臨床検査部, 医長
川添 浩平 国立循環器病センター, 研究所・第二病棟部, 医長
笹木 秀幹 国立循環器病センター, 研究所・第四循環器外科, 医師 (60153996)
|
キーワード | 異種心臓移植 / 霊長類組織適合性抗原系 / 異種ドナー選択 / 異種血液心臓灌流モデル / プラズマフォレーシス / 超急性拒絶反応 / 異種抗体 |
研究概要 |
1.ヒト由来HLA抗血清を用いた霊長類(日本猿)組織適合性抗原系の解析:第10回国際組織適合性会議に提出されたヒト由来HLA-A┣D21,B┣D21C抗血清463種に関し、日本猿13頭の組織適合性抗原タイピングを施行した。463種抗血清中、136種は10頭以上の日本猿リンパ球と非特異的に強陽性を示し、また148種は日本猿リンパ球に対し全く反応を示さなかった。残り179種抗血清の解析を試みた。ヒト由来HLA抗血清によりヒト、日本猿の種のバリアーを越えて相関を示した単一HLA抗原は、A座ではA1、A2、B座ではB40、B5、B27、C座ではCw1、Cw2であった。またHLA抗原系の交差反応性から複数の抗原にまたがって相関を示す抗原系が確認された。霊長類を異種心移植のドナーと考えた場合、共通のHLA抗血清により両者の組織適合抗原系を同定し、その適合度より最適な異種ドナーを選択することが可能なことが示唆された。 2.ヒト血液による霊長類(日本猿)心臓灌流後の病理組織学的検討 日本猿4種の心臓を(1)ABO型不適合ヒト全血液、(2)ABO型適合ヒト全血液、(3)ABO型適合血漿除去ヒト血液、の3種類のヒト血液を用い人工心肺により冠灌流した。肉眼的所見では(1)(2)何れもヒト血液灌流15分以内に心筋浮腫、広汎な出血性梗塞を認め、30分後に心室細動となったが、(3)に関しては変化を認めず40分の観察中、心臓の挙動は概ね正常であった。左室、右室、心室中隔の病理組織学的検討では、(1)(2)において広汎な間質内出血を、(1)においてcontraction band necrosisを、また(1)(2)全例にpatch necrosisを認めた。血漿除去ヒト血液による灌流(3)では、左室圧発生能は温存され組織学的変化も軽度であった事から、ヒト血漿中の異種抗体が超急性拒絶反応を誘発すると考えられた。またレシピエント血液による他臓器灌流は、ドナースクリーニングとして有効であることが示唆された。
|