研究課題/領域番号 |
62480308
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
最上 平太郎 大阪大学, 医学部, 教授 (00028309)
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研究分担者 |
有田 憲生 大阪大学, 医学部, 助手 (80159508)
山田 和雄 大阪大学, 医学部, 助手 (90150341)
早川 徹 大阪大学, 医学部, 講師 (20135700)
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キーワード | brain tumor / glioma / astrocytoma / chemotherapy / growth factor / oncogene / epidermal growth factor receptor |
研究概要 |
1.実験脳腫瘍に対するmorpholinoanthracycline系化合物MX2の効果 MX2は、分子量(622)は比較的大きいが、脂溶性が高く血液脳関門を通過するため、悪性gliomaに対する新しい化学療法剤として臨床応用が期待できる。現在、in vitroおよびin vivoにおけるMX2の抗腫瘍効果に関する検討はほぼ終了した。ラットおよびヒト培養glioma細胞に対しMX2は検討はた9種の細胞全てに強い増殖抑性効果を示した。また、ラット皮下移植gliomaおよび髄膜癌腫症において、MX2投与により有意の腫瘍増殖抑制および生存期間延長を認めた。さらに家兎においては静脈内投与後、培養glioma細胞に対し殺細胞効果を示す有効濃度を上回る量が髄液内へ移行することが認められた。またラットにおいて、頸動脈および静脈内投与による脳内分布を比較検討したところ、動注側では対側および静注に比し、約8倍のAUCを示した。 2.In situ nick translation法を用いた抗癌剤感受性の評価 遺伝子工学の分野で汎用されるnick translationの原理を使用し、培養glioma細胞におけるDNA損傷の程度をin situで判定することを試みた。その結果ラット9L glioma細胞では、DNA鎖切断を生じるとされる抗癌剤(bleomycin、cis-platinumなど)による治療で、濃度依存性に細胞核に一致したgrainの出現を認めた。今後、抗癌剤耐性細胞における耐性機構の解明あるいは組織標本を用いた感受性判定などに、本法を応用することができると考えられる(脳神経印刷中)。またヒトglioma由来T98G細胞は無血清培地ではG_1ーarrestを生じるとされているが、本法を応用したところG_1初期に相当すると考えられる細胞に多数のDNA nickが存在することが認められた(医学のあゆみ印刷中)。現在、この現象の生理的意義および治療への応用の可能性について検討中である。
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