研究課題/領域番号 |
62480308
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
最上 平太郎 大阪大学, 医学部, 教授 (00028309)
|
研究分担者 |
有田 憲生 大阪大学, 医学部, 助手 (80159508)
山田 和雄 大阪大学, 医学部, 助手 (90150341)
早川 徹 大阪大学, 医学部, 助教授 (20135700)
|
キーワード | 脳腫瘍 / 神経膠腫 / 化学療法 / 成長因子 / 癌遺伝子 / 上皮成長因子 / 髄腔内化学療法 / 髄腔内播種 |
研究概要 |
1.グリオ-マ培養細胞に対するVP-16とdipyridamole併用効果 ヒト悪性グリオ-マ細胞T98GおよびU373MGにおいて、VPー16の細胞毒性に対するdiltiazem(DTZ)およびdipyridamole(DPM)の増強効果をtetrazolium塩(MTT)を用いたcolorimetric assay法にて測定した。その結果、DPMは両グリオ-マ細胞において1μg/mlの濃度でVP-16の殺細胞効果を増強した。その効果は用量依存性で、5μg/mlのDPM併用時のIC_<50>値はT98G細胞で1.7μg/ml(VP-16単剤では6.4μg/ml)、U373MG細胞では3.2μg/ml(18μg/ml)であった。一方、DTZは使用した濃度(0ー5μg/ml)内ではVPー16に対し明らかな増強効果を示さなかった。以上のことよりDPMはDTZと異なり、臨床許容量の濃度でVPー16のグリオ-マ細胞に対する抗腫瘍効果を増強し得る。またVPー16耐性細胞(U373MG)においてDPMの併用はVPー16の抗腫瘍効果を増強し、薬剤耐性への克服の可能性が示唆された。 2.悪性グリオ-マにおける第10染色体上遺伝子欠失 悪性gliomaにおける癌抑制遺伝子の存在を明らかとする目的で、遺伝子欠失の有無を検討した。方法:Glioblastoma(GB)14例、anaplastic astrocytoma(AA)6例およびmedulloblastoma(MB)2例の計22症例を用い、腫瘍組織および白血球よりDNAを抽出し、第10染色体上の多型性マ-カ-を用い、RFLPs法により遺伝子欠失の有無を解析した。結果:GB14例中6例(43%)にloss of heterozygosityが存在した。しかしAAおよびMBでは、lossを認めなかった。GBにおいては、第10染色体長腕側マ-カ-D10S4およびD10S20でそれぞれ3および4例でlossが存在、また短腕側マ-カ-であるFNRBでは2例でlossが存在したがIRBPではlossを認めなかった。FNRBでlossを認めた2例では、D10S4あるいはD10S20にもlossが存在し、第10染色体上の広範囲の欠失が存在すると考えられた。一方D10S4あるいはD10S20のlossが存在するが、FNRBおよびIRBPのlossを認めない例が存在した。結論:GBでは、約半数の症例で第10染色体に遺伝子欠失が存在した。使用したDNAprobeの座位から推測すると、GBにおける癌抑制遺伝子座位は第10染色体上の長腕側末端方向にあると考えられる。
|