研究課題/領域番号 |
62480311
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
大原 茂幹 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (80169044)
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研究分担者 |
伴野 辰雄 名古屋市立大学, 医学部, 講師 (50117850)
永井 肇 名古屋市立大学, 医学部, 教授 (00023747)
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キーワード | CSF / flow / ECG-triggered MRI / ICP |
研究概要 |
MRIで頭蓋内脳脊髄液の流れを観察することによる、悲観血的な頭蓋内圧測定法の可能性を探るため、昭和62年度から引き続いて研究を行った。〔1〕心拍同期MRIで、脳神経外科患者9症例の中脳水道の髄液信号強度を、心電図のR波から15mses後より50msec毎に測定した。同じ症例で、手術開始直後の全身麻酔下に、頭蓋穹窿部で硬膜外圧力センサーにより頭蓋内圧波形を記録し、頭蓋内圧平均互により(a)正常郡(5例)と(b)高圧郡(4例)に分類した。〔2〕(a)正常郡:MRI上、髄液の信号強度は、心電図のR波から1心拍時間の約40%の時相で最も低くなった。これは髄液の流れによるsignal void現象が最も強く現われた結果で、その時点髄液が最も速く流れていることが示された。頭蓋内圧の変化を記録し波形を分析すると、圧の最大値を示す時相は、MRIで観察した髄液流の最速点と時間軸上ほぼ一致する傾向であった。(b)高圧郡:MRIで観察した髄液流が最速となる時相と、頭蓋内圧が最大値となる時相とは一致しなかった。つまり頭蓋内圧が高いために、髄液脈流は制限を受け、流れのパターンに異常を来したと考えられた。これらはいずれも髄液腔に閉塞の無い症例である。〔3〕頭蓋脊髄腔膜型を用いて、髄液の往復性の拍動流を、MRI装置の中で観察しようと試みた。液体の往復運動を生み出すために、レシプロ型のポンプを用いたが、強い磁界によるポンプへの影響を避けるために、液体の導管は3m以上の長さが必要あったこと、拍動流の正確な速度を計測することができなかったことなどが障害となり、期待した成果が得られなかった。これに関して、MRIの撮像方法の進歩により、定常流を用いた実験で代用できる可能性があり、現在準備中である。〔4〕結論として、MRIで観察する髄液腔の信号強度変化と頭蓋内圧との関連は、さらに追求する価値があると考えられる。
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