研究概要 |
今回の研究は以下の3点について検討を行った。1.脳細胞移植に対する間算性浮腫の影響,2.Parkinson病モデルに対するconstant-flow microinfu-sion法を用いた脳細胞移植の効果、3.脳細胞移植によるシナプスの再構成。まず1には5,7-dehydroxytryptamine(5,7-DHT)により5-htのdenervationを行ったラットにkaolin水頭症をおこさせ、これに胎仔縫線核細胞の移植を脳梁前羊部に行い、その効果を非水頭症群と比較した。移植の評価は免疫組織化学とHPLC-ECPによる5-HT,5-HIAAの定量を用いて行った。その結果脳細胞移植の初期過程においては、宿主脳の間質性浮腫は、移植された細胞の生着・繊維の伸長に促進的に働くことが明らかとなった。次に2については6-hydroxydopamine(6-OHDA)をラットの黒質に注入して作成した。Parkinson病モデルを用いて、これに胎仔Dopamine(DA)含有細胞の移植を行い、その効果をapomorphine復腔内投与により誘発される回転運動と免疫組織化学により評価を行った。移植には我々が開発したconstant-flow microinfusion法によりcell suspensionを尾状核に移植する方法と、DA細胞を組織片として側脳室内に移植する方法とを行った。その結果constant-flow microinfusionを用いた方法の有効性が確認された。Bには低血圧下に両側総頚動脈を一時遮断し、海馬錐体細胞を選択的に脱落させたラットを宿主として用い、これに胎仔海馬細胞をcell suspension法を用いて移植した。ガラス微少電極を用いて移植部位での単一放電を記録するとともに、海馬錐体細胞への興奮性入力であるSchaffer側枝刺激によるevoked potentialを記録した。その結果移植部位におけるニューロンの単一放電が記録され、しかもSchaffer側枝刺激により誘発反応が得られた。これにより移植された細胞に宿主細胞からの入力がおこることが された。今後は誘発反応を分析することにより入力様式およびシナプス機能の評価を行う予定である。
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