研究概要 |
1. Integrated Shape Investigation System(ISIS)による研究:X線を用いず, 光投射の原理を用い体表の3次元変形を読み取り, 内蔵するコンピューターによって側弯角をリアルタイムで推定して出力する装置である. 本装置が設置され稼働を始めた1987年10 月以来これまで合計延83名の側弯度との相関係数は0.44で, 全体としてみた場合相関静は高いとはいえない. ギャップについて大なるものでー21度(53%)〜+22度(58%)の差異がみられた. 最も差が大きかったものは何れも腰椎部で, 測定時のポジション, 下肢長差, ブレースによるハンプの低下等が関与すると考えられ, 今後の検討を要する. また, X線上の角度よりISISが6度以上高く出たものが32%, 6度以上低く出たものは19%±5度以内は47%であった. ISIS上に表れる変形はX線上のそれと異なって背部の変形の指数であり, 患者の主観により近いものといえよう. また, 本法の欠点は撮影に一人10分を要することでこの点の改良が望まれる. 2. モアレ3次元計測;'87年度は学校検診において285名, 側弯症児の経過観察で延520名をフジノンFMMモアレ40を用いて背部変形の計測を行いX線写真上の角度と比較を行った. われわれの方法は前屈位で計測するもので, より再現性が高いと考える. 側弯の進行をX線撮影によらずモアレ法でスクリーニングすることを検討してきたが, ブレース治療でX線上の角度のみならず, 背部変形の矯正も証明された. 側弯症の経過観察をX線を用いず経過観察に利用するためには, 解像力を高めること, モアレ像をリアルタイムで読み取るための解析装置を取り付けることが必要である.
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