研究概要 |
京都大学で開発された生物的活性を有するAWガラスセラミックスの生体材料としての特性をウサギを用いて実験した. 脛骨にAWガラスセラミックスとアルミナセラミックスのプレートを螺子固定してその結合の強度を経時的に観察した. 主物的活性を有しないアルミナセラミックスは8週を過してもその結合強度は0.5kg/cm^2と低いのに対して, AWガラスセラミックスは8週で14.6kg/cm^2,25週にて18.5kg/cm^2と有意に強力な結合を示した. 一方生体内での劣化を検討する為に, Wistar系のラットの背部皮下にAWガラスセラミックスとハイドロオキシアパタイトの2種類の生物的活性を有するセラミックスを埋入して, 12ヵ月間にわたり経済的に観察した. 3点曲げ試験による強度試験にて実験した2種類の生体材料央に観察期間中の強度の低下は生じなかった. しかし全期間においてAWガラスセラミックススはハイドロオキシアパタイトより有意の力学的強度を示し, AWガラスセラミックスが優れていた. AWガラスせラミックスとその類似の生体材料の骨との結合状態を比較検討した. 実験に使用した材料は, 35%のアパタイトを含有するAーGC, さらに40%のウォラストナイトを含有するAWーGC,AWーGCに15%のウィットロカイトを含有するAWCPーGCである. 実験動物はラビットを用いて材料は脛骨に埋入した. X線マイクロプローベを用いた走査電顕による観察にて骨組織と材料との間には, カルシウムと燐のrich layerが観察され, それは生体と材料間を結合させている反応性のアパタイト層と考えられた. 3種類の材料間では, そのアパタイト層の形成の厚さに相違が認められ, AーGC,AWーGC,AWCPーGCの順に, 10〜80μmの厚さのアパタイト層が形成されるのが認められた. AWガラスせラミックスは, 骨組織の海綿骨および皮真骨において化学的に結分し, その強度も十分に臨床的に耐えられるものと考えられた. 今後, 人工関節の金属とAWーガラスセラミックスの複合した使用方法の検討を行う予定である.
|