研究課題/領域番号 |
62480318
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山室 隆夫 京都大学, 医学部, 教授 (00088527)
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研究分担者 |
奥村 秀雄 京都大学, 医学部, 講師 (60115813)
琴浦 良彦 京都大学, 医用高分子研究センター, 助教授 (50127081)
上尾 豊二 京都大学, 医学部, 助教授 (90026956)
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キーワード | 生体材料 / bioactive ceramics / チタンウム合金 / 動物実験 |
研究概要 |
人工関節の長期の耐用性に関連する因子の一つに、人工材料と生体が接する境界面がある。この境界面の固着性を研究する実験を行なった。チタニウム合金に表面に、2種類のporous coatingを行なった材料を神戸製鋼社と共同開発した。Tiー6AIー4V合金の母材に、(1)純チタン粒をプラズマ溶射した材料(Plasmaと略する)(2)純チタンwireをmesh状に編んだものを結合させた材料(Meshと略する)を開発した。これらの材料の表面加工した部分のporosityは共に約60%であった。両材料のテストピースを雑種成犬12頭の両大腿骨内外顆荷重部に埋入して、手術後4週と24週して屠殺した。適出標本は、万能型引っ張り試験器を用いたpullーout testによる力学的固着強度の測定と非脱灰硬組織標本による組織学的検討を行なった。組織学的には、両材料とも良好な組織親和性を認め、pore内に密に新生骨が進入することを認めた。力学的固着強度にテストでは、Plasma群の4週の平均値が32.8kgf/cm^2で24週で60,8kgf/cm^2であった。Mesh群の4週の平均値が13.5kgf/cm^2で24週62.2kgf/cm^2であった。両群の24週の値には有意差を認めなかったが、4週ではPlasma群の力学的固着強度が有意に高いことが認めた。表面がporousな材料と骨との結合に関与する因子として、(1)pore size(2)porosity(3)pore shapeが考えられるが、今回の実験結果より、適切なpore sizeを有していれば、骨との固着強度は早期ではpore shapeに依存し、長期にはporosityに依存すると考えられた。従って、超長期耐用性を有する人工関節の骨との境界面として、plasma spray coatingが優れていると考えられた。この結果より、股関節部のplasma spray coatingした人工骨頭を作製して、犬に埋入試験を開始した。また早期から長期間の固着性を得るために、A-WガラスセラミックをPlasma表面にcoatingした材料を神戸製鋼社と共同開発中である。
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