研究概要 |
1.Dellonら(1984)の方法に準じて,ラット坐骨神経にシリコンチューブを囲続し形態学的,電気生理学的観察を続けてきたが,本年度はその観察期間を最長1年まで延長するとともに,速い軸索内輸送についても検討し,本法が慢性絞扼性神経障害の実験モデルとして有用であることを確認した. 2.絞扼性神経障害に対する治療法として広く行われる神経剥離術について,その手術的侵襲に対する神経自体の反応を知るために,シリコンチューブ囲続後8週を経て絞扼性神経障害が十分成立している動物に対し,内・外神経剥離術を行い,形態学的所見を観察するとともに,本年度科学研究費で購入したメモリオツシはスコープ,前置増幅器を用いて誘発筋電図(M波)を観察,記録し,伝導速度を算出するとともに複合活動電位(CAP)の振幅を測定している. これらの結果は,来年度の第3回日本整形外科学会基礎学術集会(昭和63年9月,東京)において発表する予定である. 3, 卵管結紮用クリップによる坐骨神経圧迫実験を行い,上述の慢性実験と形態学的,電気生理学的に対比し,両者の病態の差異を追究してその本態を迫るべく努力している. 現在術後2ヶ月群の成績が得られているが,その変化は急性実験群の方が明らかに著明である. 4.神経絞扼部位より近位に発生する〓性神経腫の成立過程,病態を究明するために,主としてマイクロアンジオグラフィーを用いて血管の変化を観察中である. 眞の神経腫である断端神経膜と比較することにより興味ある知見が得られるものと考えている. 5.以上の実験の結果については,4th International Meeting or the Perpheral Nerve Association of America (昭和63年7月,カナダ ハリフアックス)にて発表予定である.
|