研究概要 |
〔方法〕硬膜外持続注入のために使用した器械CADDーPCA^<TM>は本体(重さ425g)と約50mlの薬液を入れるカセットから成っている. 小型で携帯に便利な持続注入器であり, コンピューターの内蔵により, 設定範囲内で患者は自由に薬液の注入,調節ができる. 2の器械の最大の利点は患者本人がいつでも痛みを楽にしたいと感じた時, 医師の指示を待たずに安心して痛みをコントロールするための薬を投与することができるところにある. 癌性疼痛患者7名に対してCADDーPCA^<TM>を用いてモルヒネの持続硬膜外注入を行った. ストレスホルモン測定のための採血は, 疼痛のコントロールが未だ不十分な時, およびモルヒネの硬膜外注入により疼痛が改善されて3〜4日経ってから行った. 採血時間は9時,12時,16時の一日三回とした. 〔結果・考案〕10〜36回の使用において一例を除いて疼痛の軽減,眠りの程度および起床時の気分の改善が認められた. 血圧,脈拍数,呼吸数に大きな変動は見られなかった. その他モルヒネの硬膜外注入によると思われる軽度の排尿障害が一例に認められた. CADDーPCA^<TM>によると思われる合併症や誤操作によるトラブルは皆無であった. Patient Controlled Analgesiuは単に疼痛軽減のみならず, 患者が自由に自分自身の疼痛患理が出来るという点で, 精神的な面においても有効であると思われた. 器械の溝作は簡単であるが, 投与量変更のためには5回keyを押さなければならず多少煩雑である. そのため十分な説明にも拘わらず器機の取扱いに対する不安を解消させ, 操作に慣れるまで約2日を要した. 内分泌系に及ぼす影響は個々の症例によって異り一定のパターンを認めることは出来なかった. 三例の末期癌性疼痛患者では疼痛時の血漿コルチゾール,ACTHの日内変動は認められなかった. さらに疼痛が改善された時点でも日内変動は消失していた.
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