研究課題/領域番号 |
62480329
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
坂部 武史 山口大学, 医学部, 助教授 (40035225)
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研究分担者 |
村川 敏介 山口大学, 医学部附属病院, 助手 (30201809)
石川 敏三 山口大学, 医学部, 助手 (90034991)
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キーワード | エンフルレン麻酔 / 痙攣 / 局所脳代謝 / 血流 |
研究概要 |
ネコおよびラットを用いて実験を行った。エンフルレン2ー5%麻酔下(ネコ)、無刺激安静状態ではhypocapniaにより痙攣脳波は発生しなかったが、上肢軽打で痙攣波の重積が3.5ー5%の麻酔時normocapnia,hypocapniaいずれの場合にもみられた。痙攣誘発刺激回数は吸入濃度が高いほど少い傾向がみられた。大脳前頭葉皮質、視床腹側基底核、海馬の電気刺激による痙攣閾値は、吸入濃度が増加するほど上昇した。薬物(ペンチレンテトラゾール、カイニン酸の静注あるいはペニシリンの大脳皮質内注入)による誘発痙攣は、エンフルレン2%以上で抑制された。ペニシリン注入により視床、脳梁、大脳皮質で脳局所ブドウ糖代謝が亢進したが、エンフルレン4%麻酔下のペニシリン注入では代謝亢進はみられなかった。坐仮神経電気刺激(ネコ、ラット)による大脳皮質および視床の体性感覚誘発電位は、エンフルレン濃度依存性に振幅が減少した。大脳皮質切除は同側視床の誘発電位に影響しなかった。エンフルレンが視床、大脳皮質への体性感覚入力を抑制すること、視床腹側基底核に至る入力に対し大脳皮質切除の影響が少いことが示唆された。局所脳ブドウ糖代謝についてはエンフルレン深麻酔時、ラットでは脳梁、海馬、視床腹側基底核で上昇したが、この上昇は、カイニン酸の側脳室注入による海馬の破壊で影響を受けず、海馬と直接関連はないと推察される。局所脳血流量は、4%麻酔時増加が著しく、定量的解析が困難であったが、hypocapnia時には減少し、代謝/血流の不均衡が起こる可能性がうかがわれた。 以上より、エンフルレン深麻酔時には体性感覚刺激で痙攣が誘発される一方、脳局所の電気刺激による痙攣発生は抑制されることが明らかとなり、エンフルレンには痙攣作用と抗痙攣作用があることが確認された。ラットでは痙攣作用に大脳皮質間、皮質視床路の活動亢進が関与していることが明らかになった。
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