研究概要 |
(I)基礎的検討:LAK細胞の誘導法について次のような基礎的検討を行った. 評価はいずれも51Cr release assayによって誘導されたLAK細胞のcytotoxicityを測定する方法を用いた. 1.インターロイキン2(ILー2)至適濃度の検討:末梢血リンパ球を0.5u/ml,1u/ml,3u/mlの3種の濃度のILー2とともに6日間培養して得られたLAK細胞の活性を比較した結果, 3u/mlのIIー2濃度で得られたLAK細胞の傷害性が最も強かった. 2.培養液中に用いる血清または血漿の種類の検討:自己血漿, ABO同型ヒト新鮮凍結血漿, AB型ヒト血清の3種を用いてLAK細胞を誘導し, その活性を比較した. 結果は3者に有意差なく, 実用的には新鮮凍結血漿を用いるのが妥当と考えられた. 3.培養期間の検討:末梢血リンパ球を1×10^6/mlの濃度でILー2,3u/ml存在下に2日ー6週間培養し, 培養の至適期間を検討した. LAK活性は2日目より出現し, 3ー7日の間にピークに達し, 以後漸減した. 従って, 培養期間は3ー7日が適当と考えられた. (II)患者への応用:肺転移を来した腎細胞癌術後の患者(52歳, 男性)に対し, 上記の基礎的検討を踏まえて昭和62年4月より12月の間に計7回のLAK療法を施行した. 毎回約5リットルの患者末梢血より血液成分分取装置を用いて5×10^9前後のリンパ球を得て, 培養液中に1ー2×10^6/mlの細胞濃度で3ー8日本培養した. 培養液にはRIMI1640に5%の患者自己血漿もしくは患者のABO同ヒト, 新鮮凍結血漿, 及び3ー6u/mlのILー2を添加したものを用いた. 誘導されたLAK細胞の数は4・32×10^8個で, 7回の投与により合計12.3×10^9個のLAK細胞が移入された. 当初全身投与であったが, 3回目からはLAK細胞を気菅支動脈内に直接注入している. 臨床的効果は肺転移巣の大きさは不変で, 固形がん直接効果判定基準では今のところNO CHANGEである.
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