研究課題/領域番号 |
62480339
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
園田 孝夫 大阪大学, 医学部, 教授 (80028290)
|
研究分担者 |
菅尾 英木 大阪大学, 医学部, 助手 (80154441)
中野 悦次 大阪大学, 医学部, 講師 (90116070)
|
キーワード | 腎癌 / Interleukin 2 / Lymphokine-activated killer cells / Adoptive immunotherapy |
研究概要 |
昭和62年度の基礎的研究の結果に基づき、進行腎癌患者を対象にしてlymphokine-acticated killer(LAK)細胞によるadbptive immunotherapyを行なった。さらに自己腫瘍細胞を標的にしたin vitroの^<51>Chromium-release cytotoxi-cyty assayの結果から本療法に有効な症例を予知可能か否かについて検討を加えた。原発巣摘除により組織学的に腎癌と診断され、かつ測定可能病変を有する年齢37歳から72歳までの男性11例および女性3例の14例を対象にしてLAK細胞によるadbptive immunotherapyを施行した。 Leukapheresesで得られたlymphocyte-rich fractionからFicoll-Hypaque比重遠心法にてリンパ球を採取した。このリンパ球を2units/ml recomoinant interleukin 2(IL2)下で3〜4日間培養を行なった。培養したこのLAK細胞を週に1〜2回静脈内投与を行なった。あわせて1000unitsのIL2を日に1〜2回点滴静注した。本療法によりcomplete responseは得られなかったが、14例中肺転移を有する3例においてpartial responseが得られた。副作用についてはLAK細胞投与直後には悪寒、戦慄ならびに発熱がみられ、IL2投与後には38℃前後の発熱のみであった。この様に、本療法は腎癌肺転移に対してはかなり有効な治療法といえる。IL2は血管透過性の変化をきたし、blood brain barierを破壊することが実験的に明らかにされており、本療法は脳転移を惹起する可能性を有していることが示唆されている。事実、本療法施行14例のうち3例において、治療開始約10週目、治療終了後9カ月および10カ月目に脳転移が発見されている。本療法の臨床効果と自己腫瘍細胞を標的にしたin vitro assayの結果との関係について6例において検討を加えてみた。高い殺細胞効果を有しているにもかかわらず、本療法に奏効しなかった症例や低い殺細胞効果しかみられなかった症例が本療法に有効であったり、残念ながら一定の傾向はみられなかった。
|