研究概要 |
1.血液型不適合腎移植のプロトコール作成:血液型不適合腎移植の先端施設であるU.C.L.Saint Luc(Prof.Aloxandre)を訪問し, 移植見学及び臨床上のアドバイスを受け, 当施設独自のプロトコールを作成した. まず, 移植前措置として脾摘を行い, 従来行っていたドナー特異的全血輸血(DST)に変えてドナー特異的白血球輸血を2〜3回施行し, 術直前数日間免易吸着カラムを用いて抗A・抗B抗体価が一定レベル以下になるようくり返レプラズマフェレーシスを行う. 術中措置としては, 抗血小板凝集前を投与する以外血液型適合腎移植に準じる. また, 術後の免疫抑制療法は, サイクロスポリンAを中心としたALG,アザチオプリン,メチルプレドニゾロンの4者併用療法にてコントロールし, 必要に応じてプラズマフェレーシスも施行する. 2.血液型不適合腎移植患者のリストを作成し, 予定は遅れたものの4月よりレシピエントの術前処置に入る. 3.移植に伴う免疫学的モニタリングの施行:血液型適合, 不適合腎移植間での免疫応答の差を見るため, 血液型適合腎移植症例で種々の免疫学的モニタリングを施行しているが, DSTに伴ったMLR,CML値の変動により急性拒絶反応の有無が予測出来, 一方拒絶反応時には, T細胞の活性化マーカーであるトランスフェリンリセプターの上昇がみられる. このように移植抗原としてのHLAは液性及び細胞性免疫と強く惹起するが, ABO抗原に関しても液性抗体のみならず細胞性免疫能を測定出来るよう, 系の確立に努めている. また, 移植腎組織上のHLA,ABO抗原量の変動を調べるため, モノクローナルを用いて酵素抗体法による免疫組織化学的染色を試みる予定である.
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