研究概要 |
婦人科悪性腫瘍特に卵巣癌及び子宮体癌の早期発見はしばしば困難であり多くの実地婦人科医を悩ましている. そこで, 我々は各種婦人科悪性腫瘍に対する数種類の単一クローン抗体を作製し,これら抗体を用いて血清中の抗原を測定し,臨床応用を企るべく計画を立てた まず,BALB/Cヌードマウスに子宮内膜癌由来細胞株(Ishikawa)を免疫し,株細胞には反応するが, 線維芽細胞とは反応しない数種類のモノクローナル抗体を産生する隔合細胞株(IG9,10B10,9A7,その他)を得た. 1G9は免疫株細胞のみに弱く反応し,他の細胞株や正常及び癌組織とは全く反応しなかった. 現在さらに検討中. 10B10は多くの癌及び正常組織と反応し, 血液型O型患者血球を凝集させた. しかし,市販の抗H抗体と比較すると,組織での反応性は異なり,血液型H型抗原の亜型を妊娠する可能性もあり現在検討中である. 9A7は子宮内膜癌,卵巣類内膜癌をはじめとして多くの腺癌組織に強く反応したが,良性卵巣腫瘍,正常組織は反応が弱く,扁平上皮癌,正常扁平上皮はおおむね陰性であった. 特に正常組織で陽性を示した組織は,増殖期子宮内膜,頚部腺及び済化管上皮,尿細管等が陽性を示した. 9A7の認識抗原はレクチンによる阻害テスト及びセファローズ6Bによるカラムクロマトグラフィーによって N-acetylglucosamine,D-Galactoseの糖鎖を有する700Kダルトン以上の高分子糖蛋白であることが判明した. これをMCAー97(Mucus-related Cancen-Associdted Antigen)と命名し,種々の癌細胞株上清中に出現することより,現在癌患者及び正常者の血清値について検討中である. さらに,子宮内膜の胎生期及び癌化に伴う糖鎖抗原の変化についても合わせて検討し,H型物質の増量が示さた.
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