前回作製されたモノクローナル抗体(10B10)は血液型物質Hに対するもので、子宮内膜癌を免疫組織学的に染色することによって、子宮内膜癌にH物質が増量することが判明したが、同時にLewis-a、Lewis-b血液型物質も増量することが示された。さらに、Lewis-aの異性体であるLewis-xにシアル酸の付着したシアリルLewis-xは血清中に出現し、開発されたアッセイ系で測定すると、卵巣癌患者の約60%が正常cut off値以上を示した。SLXiは治療と伴に低下を示し、再発で再上昇することが示され、経過観察のための腫瘍マーカーとして利用しうることが判明した。 前回作製されたモノクローナル抗体(MCAー97)は、多くの子宮内膜癌及び卵巣類内膜癌に組織レベルで反応性が認められた。また多くの腺癌由来細胞株にも反応性がみられ、その培養上清においても、ELISA法で反応性がみられた。さらに、今回我々の開発したMCA-97・RPHA法(Reversed passive Hemagglutinction asay)によると、子宮内膜癌の約30%、卵巣類内膜癌患者の50%の血清に反応性がみられた。MCAー97の認識抗原は70万以上の高分子糖蛋白で、末端にgalactose及びN-autylzbucosa minlを有することが判明した。これも、血清型物質のH抗原の前駆体であるI抗原であろうと推測される。
|