研究概要 |
ヒト胎児期における解剖学的発育基準の設定を試みるために, 計370例の外形正常ヒト胎児〔妊娠4ヵ月〜9ヵ月,頂殿長(CRL)3,5cm〜30cm〕を用い, 外表各部位の計測を行ない, 各形態発生事象を調べた後, 剖検を行ない各内部臓器の重量および大さの測定をした上, 各器官の外形発生を検索した. その経過と主な知見として. (1)外表計測:legth(l),breadth(b),height(h)とする. Head(l,b,h),Face(h),Eye(b),Ear(b,h),Manaibular(b,h),Corpus(l),Shoulder(b),Upper arm(l),Forearm(l),Hand(l),Hip(b),Thigh(l),Knee(l),Foot(l),Anogenital distance,Navol(h)の各部位長はCRLとの間に一定の関係があることを認めた. (2)外表発生事象:今年度のこの例数より現在認め得た資料としては, 頭部血管静脈叢の消失CRL3.5〜4.5cm,眼瞼初同閉鎖4.5〜5.5cm,まゆ毛線の出現5.0〜6.5cm,頭毛の渦の出現10〜13cm,上唇結節の出現4.0〜55cm,〓幹の毛の出現13〜15.5cm,外生殖器による性差の判定4.5〜6.0cm,殿溝の出現7.0〜9.5cm,指紋の出現115〜140cm,第1指の爪が指頭に達する20〜24cm,趾紋の出現12〜14.5cmなどであった. (3)器官重量:脳重量については, 固定不良のため測定不可能例が若干あった. 甲状腺,肺,胸腺,心,肝,膵,腎,副腎,脾,性腺の重量値と各体重との器官比を求め,一定の基準の設定の検討資料を得た. (4)器官の外景:(3)の臓器の外景の写真撮影(種々の方向より)を行ない, 各外景の形態発生の検討を行ない,腎臓の小葉の消退の経緯を含む種々の所見を得た. (5)心臓の計測:今年度は特に心臓の胎生期発生を詳しく検索した. 全例において, 外景(縦径,横径,前後径,周囲長)および内景(大動脈外内径,肺動脈外,内径,中隔の高さ,厚さ,左右心室壁の厚さ,左右心房壁の厚さ)の計測,優位動脈の検索などを行ない,詳細な基準となり得るデータを多数得られた.
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