研究課題/領域番号 |
62480348
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
工藤 尚文 岡山大学, 医学部, 助教授 (90127556)
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研究分担者 |
川田 昭徳 岡山大学, 医学部附属病院, 医員
岸本 廉夫 岡山大学, 医学部附属病院, 助手 (30186217)
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キーワード | 羊水中ドパミン / 羊水中プロラクチン / 羊水中プロスタグランディン / 陣痛 / 卵膜monoamine oxidase / 羊水中DOPAC |
研究概要 |
1.羊水中ドパミンの代謝機構の検討 (1)自然陣痛発来例において正常経腟分娩後の卵膜3層(羊膜、絨毛膜、脱落膜)それぞれのmonoamine oxidase(MAO)活性を測定し、陣痛発来前の選択帝王切開例の結果と比較した結果、両群のMAO活性には有意差を認めなかった。 (2)昭和62年度に行ったヒト卵膜と羊水のincubation実験をさらに発展させ、卵膜各層別さらにはMAO阻害剤であるpargyline添加incubation実験を行った。その結果、羊水中ドパニミンMAO活性が卵膜3層のうち最も弱い羊膜においても急速に生物学的に不活性なDOPACに代謝されており、また、その代謝はpargylineにより阻止されることを認めた。 (3)卵膜catecholーOーmethyltransferase(COMT)活性の検討 カテコラミンのもう一つの代謝酵素であるCOMT活性を卵膜各層でAxelrodの方法により測定したが、卵膜にはCOMT活性を認め得なかった。以上の結果により、羊水中ドパミンは卵膜に存在するMAOによりDOPACに代謝されていることが最終的に確認された。さらに、その代謝は羊水に直接接している羊膜の関与が大きいと考えられた。また、自然陣痛発来前後の卵膜MAO活性に変化を認めなかったことより、分娩周辺期の羊水中ドパミン濃度の変化はその産生系の変化によるものと推察された。 2.羊水、胎児血、母体血中カテコラミン系物質、プロラクチン(PRL)、プロスタグランディン(PG)の相互関係の検討 カテコラミン系物質については陣痛発来後の羊水中ドパミンの増加が顕著であった。また羊水中には多量のPRLが存在するが、その濃度は陣痛発来後減少する傾向を認めた。さらにpreliminaryにPGも検討し、羊水中PGE、PGFは分娩によりドパンミンと同様に著明な増加を示し、さらに羊水中PG濃度と羊水中PRL濃度とは逆相関係にあることが窺われた。
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