研究分担者 |
加来 恒壽 九州大学, 医学部, 助手 (60185717)
斎藤 俊章 九州大学, 医学部, 助手 (80162212)
嘉村 敏治 九州大学, 医学部, 助手 (30152870)
松隈 敬太 九州大学, 医学部, 助手 (20150419)
松山 敏剛 九州大学, 医学部, 講師 (50038767)
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研究概要 |
1.腫瘍組織内の癌細胞の抗癌剤に対する感受性についての多様性に関する研究として原発腫瘍組織内の部位別,或いは転移巣の癌細胞について検討した. In vitroでの感受性試験の結果からは, 同じ腫瘍内でも部位にその薬剤に対する感受性が異なっている可能性が示唆された. ただし, この研究の過程で部位による細胞の増殖態度(コロニー形成能)に差がある事が分り, 特に転移巣の細胞増殖能は原発巣に比し高い傾向が認められた. この事実は感受性試験の結果にも影響を及ぼしていると考えられ, さらに継続して例数を増しての検討が必要である. 2.現行の化学療法を原発巣の癌細胞の感受性試験の結果から検討してみた. 現行の三者併用療法(CAP)のいずれかの薬剤に感受性があるものが90%であったが, いずれも薬剤にも感受性を示さないものが10%に存在し, この様な症例が臨床的薬剤耐性の一部を形成する可能性が考えられる. 今後の転帰の解析とさらに例数を増す必要性がある. 3.臨床的薬剤耐性腫瘍のIn Vitroでの薬剤感受性の検討. 1).既治療薬剤に感受性が低い例が多く, 細胞レベルでの耐性の獲得か, 低感受性クローンの選択がおこっている可能性が示唆された. しかし, 一部には多くの薬剤に感受性が認められるものの, In vitroでの増殖能力が非常に強い腫瘍細胞があり, この様な例では生体内での不適切な薬剤動態が耐性機構の主軸をなしていると考えられた. 2).薬剤感受性試験を基にした化学療法を施行した結果, 一部の症例では既に効果が認められているが, さらに例数を増して検討の予定である. 従来卵巣癌の治療薬として使用頻度の低い薬剤も一部の症例に対しては効果がある事が分った. 4.薬剤耐性腫瘍の病理組織学的所見と感受性試験の結果に関して検討した. 肉腫瘍変化をおこした卵巣癌ではActinomycinーDやVincristine等の肉腫の治療に用いられる薬剤に感受性が認められ, 組織学的形態と感受性との関連が認められる点であった.
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